許可を守り、
派遣先・求職者との関係を契約で整える。
人材ビジネスは、労働者派遣法と職業安定法という二つの業法の上に成り立っています。許可の取得と更新、事業報告、労使協定方式による同一労働同一賃金、マージン率の公開、求人情報の的確表示。これらは一度整えれば終わりではなく、法改正のたびに見直しが必要です。加えて、派遣先との契約、派遣スタッフとの雇用関係、求職者・求人企業との三者関係で、日常的に紛争の芽が生じます。
越水法律事務所は、労働者派遣法・職業安定法・労働契約法・労働基準法を横断して、派遣元・紹介会社の許可維持と契約・労務の体制を点検します。派遣先から提示される基本契約、紹介手数料の回収、派遣スタッフの労務トラブル、行政の指導・監督への対応を、顧問弁護士として継続的に支えます。
人材派遣・人材紹介業に特有の法的リスク
人材派遣・人材紹介業の経営者から相談が多い法的リスクと、根拠となる法令です。
派遣許可の維持と事業運営の法令遵守
労働者派遣事業は許可制であり(労働者派遣法5条)、資産要件、派遣元責任者の配置、キャリア形成支援制度、教育訓練、事業報告書の提出、マージン率等の情報提供義務(同法23条5項)を継続的に満たす必要があります。同一労働同一賃金については、派遣先均等・均衡方式か労使協定方式(同法30条の4)を選択し、労使協定方式では毎年度の一般賃金水準(局長通達)との比較と協定の更新が必要です。派遣期間制限(事業所単位・個人単位の3年)、日雇派遣の原則禁止、離職後1年以内の元従業員の派遣禁止など、違反は許可取消・事業停止・企業名公表の対象となります。
派遣先との契約と偽装請負
派遣先との労働者派遣基本契約・個別契約には、業務内容、派遣期間、就業場所、指揮命令者、苦情処理、安全衛生など法定記載事項(労働者派遣法26条)があり、派遣先による事前面接や履歴書の提出要求は特定行為として禁止されています。他方、請負や業務委託の形式で人を送り込み、発注者が直接指揮命令する「偽装請負」は、無許可派遣や職業安定法44条の労働者供給に該当し、労働契約申込みみなし制度(労働者派遣法40条の6)により、派遣先が労働者に直接雇用を申し込んだものとみなされます。契約形態と現場の実態の点検が欠かせません。
職業安定法の紹介手数料・返戻金・求人表示
有料職業紹介事業は許可制で(職業安定法30条)、手数料は届出制の上限の範囲で、求人者から受け取るのが原則です。早期退職時の返戻金規定は契約に明記しなければ争いになり、求人企業からの「入社後すぐ辞めたので手数料を返せ」という主張への対応は、契約条項の設計で決まります。2022年改正により、求人情報・求職者情報の的確表示義務(同法5条の4)が課され、募集情報等提供事業者(求人メディア)にも届出制と表示義務が及びました。虚偽・誤解を生む求人表示は行政指導・改善命令の対象です。
派遣スタッフ・紹介した人材をめぐる労務紛争
派遣スタッフは派遣元と雇用関係にあるため、有期契約の更新・雇止め(労働契約法19条)、無期転換ルール(同法18条)、派遣先での事故の安全配慮義務、ハラスメントへの対応(派遣元・派遣先双方の措置義務)、休業手当(労働基準法26条)は派遣元の責任です。派遣先都合で契約が終了した場合の新たな就業機会の確保と休業手当、派遣先での事故における労災の適用と損害賠償、派遣スタッフの個人情報の管理など、三者関係特有の論点が生じます。
外国人材の受入れと育成就労制度
外国人の派遣・紹介には、在留資格(技術・人文知識・国際業務、特定技能など)ごとの就労可能な業務範囲の確認が必須であり、資格外活動や不法就労の助長は事業者にも刑事責任が及びます(出入国管理及び難民認定法73条の2)。技能実習制度は2027年までに育成就労制度へ移行し、監理支援機関の許可要件、転籍のルール、送出機関との関係が変わります。特定技能の登録支援機関、育成就労の監理支援機関として事業を行う場合は、それぞれの許可・登録要件と支援計画の実施が求められます。
求職者・求人企業からの引き抜き・直接雇用
紹介した人材を求人企業が「紹介を経ずに直接採用した」と主張して手数料を支払わない、派遣先が派遣スタッフを直接雇用する、退職した営業担当者が求人企業と求職者の情報を持ち出して競合を始める。いずれも契約条項(直接雇用時の手数料、秘密保持、競業避止)と証拠の有無で結果が決まります。なお、派遣先が派遣期間終了後に派遣スタッフを直接雇用することを制限する契約は労働者派遣法33条で禁止されているため、紹介予定派遣や手数料条項の設計で対応します。
人材派遣・人材紹介業の顧問弁護士ができること
人材派遣・人材紹介業の顧問先に対して、日常的に提供している業務です。
許可維持と業法コンプライアンスLicensing
労働者派遣法・職業安定法の許可要件と義務事項を継続的に点検し、事業報告、労使協定、マージン率公開、求人表示、行政の指導・監督への対応を支援します。
- 派遣許可・有料職業紹介許可の更新対応
- 労使協定方式の協定書・毎年度の更新
- マージン率等の情報提供
- 求人情報の的確表示の点検
- 労働局の調査・指導・是正への対応
- 登録支援機関・監理支援機関の要件整理
派遣先・求人企業との契約Contracts
労働者派遣基本契約・個別契約、人材紹介基本契約、業務委託契約を、法定記載事項と自社の利益(手数料・返戻金・直接雇用時の扱い・損害賠償の範囲)を両立させて設計します。
- 労働者派遣基本契約・個別契約
- 人材紹介基本契約・手数料・返戻金条項
- 紹介予定派遣の契約設計
- 偽装請負の点検と契約形態の是正
- 大手派遣先から提示される契約の修正
- 未払手数料・派遣料金の回収
派遣スタッフ・社員の労務Labor
有期契約の更新・雇止め、無期転換、休業手当、派遣先でのハラスメント・事故、営業担当者の労務まで、三者関係を踏まえて対応します。
- 派遣スタッフの雇用契約書・就業規則
- 雇止め・無期転換ルールへの対応
- 派遣先都合の契約終了と休業手当
- ハラスメント・労災の派遣元責任
- 営業担当者の歩合給・競業避止
- 労働審判・団体交渉への対応
外国人材・新規事業Global & New Business
外国人材の紹介・派遣における在留資格の確認体制、特定技能・育成就労への対応、求人メディアやHRテックなど新規事業の適法性を整理します。
- 在留資格ごとの就労範囲の確認体制
- 特定技能・育成就労制度への対応
- 海外送出機関との契約
- 求人メディア・スカウトサービスの届出
- HRテック・AIマッチングの法的整理
- 個人情報・求職者情報の管理体制
人材派遣・人材紹介業の顧問弁護士として選ばれる理由
人材派遣・人材紹介業の顧問弁護士として、当事務所が提供できる価値です。
許可を守る継続的な点検
人材ビジネスの法令は改正が続きます。当事務所は労働法・業法の法改正を継続的に整理し、顧問先には自社の許可維持に関わる改正点を個別にお知らせします。年度ごとの労使協定の更新や事業報告の時期も管理します。
大手派遣先・大手求人企業との交渉力
所属弁護士は企業法務の実務経験を重ねています。大手企業から提示される基本契約の修正交渉、手数料の回収交渉でも対等に対応します。
労務と業法を一体で扱う
派遣スタッフの労務問題は、労働法だけでなく派遣法上の派遣元・派遣先の責任分担と絡みます。両者を分けずに、契約・就業規則・現場対応まで一貫して助言します。
よくあるご相談例
人材派遣・人材紹介業の顧問先から実際に多くいただく相談の類型です。
紹介した人材が2か月で退職し、求人企業から手数料の全額返金を求められた。
契約書の返戻金条項の内容と適用要件を確認し、返金義務の有無と範囲を整理します。条項が不明確な場合は、今後の契約ひな型を改めます。
派遣先が派遣スタッフに残業を直接命じ、契約時間を大幅に超えている。
個別契約の就業条件と36協定の範囲を確認し、派遣先への是正申入れ、派遣料金の精算、派遣スタッフへの割増賃金の支払を整理します。
労働局から労使協定方式の運用について調査の連絡が来た。
協定書、一般賃金水準との比較資料、教育訓練の記録、事業報告書を点検し、調査当日の対応と是正が必要な場合の改善計画を準備します。
請負契約で送っている技術者に、発注者が直接指示している。
偽装請負のリスクと労働契約申込みみなし制度の適用可能性を評価し、派遣契約への切替えか請負としての実態整備かを、取引先との関係を踏まえて設計します。
求人サイトに掲載した募集条件と実際の条件が違うとクレームを受けた。
職業安定法の的確表示義務と労働条件明示義務の観点から、掲載内容と実際の条件の差異を整理し、是正と再発防止の表示ルールを作ります。
退職した営業担当者が求人企業と登録者のリストを持ち出し、競合で働き始めた。
営業秘密該当性、秘密保持・競業避止の合意の有効性を確認し、警告書、差止・損害賠償請求、刑事告訴の要否を判断します。
よくあるご質問
人材派遣・人材紹介業の経営者の方からよくいただく質問です。
派遣許可の取得段階から相談できますか。
はい。資産要件、派遣元責任者、事業所要件、就業規則や労使協定の整備など、許可申請の前提となる体制づくりを支援します。申請書類の作成は提携する社会保険労務士と連携します。
労働局の調査に立ち会ってもらえますか。
事前の書類点検と想定問答は顧問料の範囲で行います。調査当日の立会いや是正報告書の作成は、内容に応じて個別にお見積りします。
派遣スタッフから労働審判を申し立てられた場合は。
顧問弁護士が派遣元の代理人として対応します。平時から雇用契約書・就業規則・派遣先との契約を整えておくことで、主張と証拠の準備が速く進みます。
外国人材の紹介事業も対象ですか。
はい。在留資格の確認体制、特定技能の登録支援機関、育成就労制度の監理支援機関の要件など、外国人材に関する事業を支援します。
人材派遣・人材紹介業の経営者のための関連コラム
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