次のラウンドで問われることを、
今のうちに整えておく。
スタートアップの法務は、事業のスピードに追いつかないまま後回しになりがちです。しかし、創業株主間契約がないまま共同創業者が離脱する、投資契約の条項を理解しないまま署名する、ストックオプションの発行手続に不備があって税制適格が否認される、利用規約が古いまま新機能を出す。これらは次の資金調達やM&Aのデューデリジェンスで必ず発見され、その時点で修正するには相当のコストと交渉力を失います。
越水法律事務所は、資金調達・資本政策・ストックオプション・利用規約・知財・労務・新規事業の規制対応を、成長段階に応じて優先順位を付けて整備します。代表弁護士はM&A・ファイナンスの実務を経て、東証グロース上場企業の社外取締役を務めています。投資家側と会社側の双方の視点を踏まえて、創業期から上場準備までを顧問弁護士として継続的に支えます。スタートアップ・ベンチャー、ファイナンス、キャピタル・マーケッツを主要な取扱分野としています。
スタートアップに特有の法的リスク
スタートアップの経営者から相談が多い法的リスクと、根拠となる法令です。
投資契約・株主間契約の条項
シードやシリーズAの投資契約・株主間契約には、優先分配(みなし清算条項)、希薄化防止、ドラッグアロング(強制売却権)、創業者株式のリバースベスティング、表明保証違反時の買戻請求、取締役指名権、事前承認事項(拒否権)などが盛り込まれます。いずれも会社法上の種類株式(会社法108条)や株主間の契約として有効ですが、条項の意味を理解せずに受け入れると、次回以降のラウンドやM&Aで創業者の取り分と経営の自由度を大きく制約します。経済産業省の「スタートアップ投資契約に関するガイドライン」や創業者の個人責任を伴う条項の有無を含め、契約前に条項ごとの影響を整理する必要があります。
資本政策と創業株主間契約
株主総会の特別決議を阻止できる3分の1、普通決議を単独で可決できる過半数、特別決議を単独で可決できる3分の2という会社法上の議決権のラインは、資本政策の設計の基準です。創業初期に安易に株式を渡すと、後から取り戻すことは困難です。共同創業者が離脱した場合の株式の扱い(買取請求権、ベスティング)を定めた創業株主間契約がなければ、会社に関与しない元創業者が大株主として残り続け、資金調達やM&Aの障害になります。資本金の水準は許認可の要件や税務(資本金1億円基準)にも影響します。
ストックオプションの設計と税制適格要件
税制適格ストックオプション(租税特別措置法29条の2)は、権利行使価額が付与時の株価以上であること、付与から2年経過後10年以内(設立5年未満の非上場会社は15年以内)の行使、年間行使価額の限度額(2024年改正で最大3,600万円まで拡大)、譲渡禁止、付与対象者の要件などを満たす必要があり、一つでも欠けると権利行使時に給与所得として課税されます。発行手続には株主総会の特別決議(会社法238条・239条)と登記が必要で、手続の不備は後から補正できません。信託型ストックオプションの課税上の扱い(2023年の国税庁の見解)や、社外協力者への付与の要件も設計時に確認が必要です。
新規事業の適法性と業法
新しいサービスが既存の業法に触れるかどうかは、事業のスキームを組む段階で確認する必要があります。決済やポイントは資金決済法、貸付や後払いは貸金業法・割賦販売法、人材マッチングは職業安定法、宿泊や旅行は旅館業法・旅行業法、中古品の取扱いは古物営業法、医療・健康分野は医師法・薬機法。該当性が不明な場合、産業競争力強化法に基づくグレーゾーン解消制度や新技術等実証制度(規制のサンドボックス)により、事業を始める前に規制の適用の有無を確認することができます。適法性の整理は、投資家のデューデリジェンスでも必ず問われます。
フルコミット人材の労務とハードワークの制度設計
創業期の「みなし残業」「裁量労働」は、要件を満たさなければ無効であり、退職後の未払残業代請求は3年分に遡ります。役員報酬と給与の区別、業務委託として関与する人材の労働者性、ストックオプションを前提とした低賃金の適法性、外国籍エンジニアの在留資格など、スタートアップに特有の労務の論点は上場準備の労務デューデリジェンスで必ず検証されます。専門業務型裁量労働制や固定残業代を適法に設計し、労働時間を記録する体制を早期に整えることが、後の資金調達と上場審査を円滑にします。
知財・利用規約・データの整備
サービス名の商標を取得しないまま事業を拡大し、後から第三者の商標権侵害を指摘されて名称変更を余儀なくされる事例は少なくありません。受託開発や業務委託で作られたプログラム・デザインの著作権は、契約で譲渡を定めなければ受注者に残ります(著作権法61条2項の推定に注意)。利用規約・プライバシーポリシーは、消費者契約法・個人情報保護法・電気通信事業法の外部送信規律に沿って、新機能のたびに見直す必要があります。AI・データを扱う事業では、学習データの権利処理と個人情報の利用目的の整理が、事業の適法性そのものを左右します。
スタートアップの顧問弁護士ができること
スタートアップの顧問先に対して、日常的に提供している業務です。
資金調達・資本政策Financing
シードからシリーズA以降の投資契約・株主間契約のレビューと交渉、種類株式の設計、J-KISSや新株予約権付社債、創業株主間契約、資本政策の検討を支援します。
- 投資契約・株主間契約のレビューと交渉
- 種類株式(優先株)の設計と定款変更
- J-KISS・転換社債型新株予約権付社債
- 創業株主間契約・ベスティング
- 資本政策とキャップテーブルの検討
- デット調達・経営者保証の交渉
ストックオプション・ガバナンスEquity & Governance
税制適格ストックオプションの設計と発行手続、株主総会・取締役会の運営、種類株主総会、登記、投資家への報告事項の整理を、司法書士・税理士と連携して行います。
- 税制適格ストックオプションの設計・発行
- 信託型・有償ストックオプションの検討
- 株主総会・取締役会の招集と議事録
- 取締役会設置・監査役設置の機関設計
- 商業登記(司法書士が対応)
- 投資家への事前承認・報告事項の運用
プロダクトの法務Product
利用規約・プライバシーポリシー、新規事業の業法該当性、グレーゾーン解消制度の申請、AI・データの法的整理、商標・特許の権利化を、サービス設計の段階から支援します。
- 利用規約・プライバシーポリシー・外部送信規律
- 新規事業の適法性検討・業法の該当性
- グレーゾーン解消制度・サンドボックスの申請
- 商標・特許の出願戦略(弁理士が対応)
- 受託開発物・業務委託成果物の権利帰属
- 生成AI・データ利活用の整理
労務・上場準備・M&ALabor, IPO & Exit
フルコミット人材の労務設計、就業規則、上場準備の内部管理体制と労務デューデリジェンス対応、M&Aによるエグジットの契約交渉まで、成長段階に応じて支援します。
- 裁量労働制・固定残業代の適法な設計
- 就業規則・雇用契約書・業務委託契約
- 上場準備の内部管理体制・反社チェック
- 労務・法務デューデリジェンスへの対応
- M&A(株式譲渡・事業譲渡)の契約交渉
- 海外展開・英文契約
スタートアップの顧問弁護士として選ばれる理由
スタートアップの顧問弁護士として、当事務所が提供できる価値です。
上場企業の社外取締役の視点
代表弁護士は東証グロース上場企業の社外取締役を務め、取締役会の意思決定と上場企業のガバナンスに日常的に関与しています。上場準備で問われる内部管理体制を、審査する側の目線で整えられます。
上場企業水準のファイナンス実務を創業期の予算で
所属弁護士はM&A・ファイナンス・キャピタル・マーケッツの実務経験を有しています。投資家側の法律事務所が作成した契約書にも対等に対応し、条項ごとの影響と交渉の優先順位を示します。
知財・税務・登記まで一つの窓口で
商標・特許は弁理士と特許庁審査官出身の弁護士・弁理士、ストックオプションの税務は税理士、登記は司法書士が担当します。資金調達や上場準備で必要になる専門家を、事務所内で揃えています。
よくあるご相談例
スタートアップの顧問先から実際に多くいただく相談の類型です。
VCから投資契約のドラフトが届いたが、どの条項を交渉すべきか分からない。
みなし清算、希薄化防止、ドラッグアロング、リバースベスティング、表明保証の買戻請求、事前承認事項を条項ごとに評価し、受け入れ可能な範囲と交渉すべき優先順位を整理します。
共同創業者が退任するが、保有株式をどうすればよいか。
創業株主間契約の有無と内容を確認し、買取請求権の行使、価格の算定、株主総会の承認手続、譲渡制限株式の譲渡承認を整理します。契約がない場合は交渉の方針を立てます。
ストックオプションを発行したが、税制適格の要件を満たしているか不安だ。
行使価額、行使期間、限度額、付与対象者、割当契約の内容、株主総会決議と登記を点検し、不備があれば新規発行を含めた是正策を税理士と共に設計します。
後払い決済を組み込んだ新サービスが、貸金業や割賦販売法に触れないか。
サービスの資金の流れを整理して該当性を判断し、必要に応じてグレーゾーン解消制度の照会や登録・免許の取得スケジュールを組み立てます。
上場準備で証券会社から労務管理の整備を求められた。
労働時間の記録、固定残業代・裁量労働制の適法性、業務委託の労働者性、未払残業代の有無を点検し、労務デューデリジェンスに耐える体制を社会保険労務士と連携して整えます。
事業会社から買収の打診を受けた。
基本合意書、デューデリジェンス対応、株式譲渡契約の表明保証・補償条項、既存投資家の権利(ドラッグアロング・優先分配)の処理まで、創業者側の代理人として支援します。
よくあるご質問
スタートアップの経営者の方からよくいただく質問です。
創業直後で売上がない段階でも顧問契約できますか。
はい。創業株主間契約、利用規約、業務委託契約、秘密保持契約は創業直後に整える方が後の修正コストが小さく、事業規模に応じた顧問料をご提案します。
資金調達のたびにスポットで依頼するのと、顧問契約は何が違いますか。
顧問契約では、前回のラウンドの契約内容や資本政策を把握した弁護士が次のラウンドに対応するため、条項の整合性の確認と交渉の立ち上がりが速くなります。日常の利用規約や労務の相談も含めて継続的に対応します。
投資家側の弁護士から提示された契約書のレビューにどのくらいかかりますか。
投資契約と株主間契約のセットで通常3〜5営業日を目安に、条項ごとのコメントと修正案を返します。クロージングの日程が決まっている場合は優先して対応します。
上場準備の段階で顧問弁護士を変更しても問題ありませんか。
はい。既存の顧問弁護士と分野を分けて契約する形も可能です。上場準備、資金調達、知財など専門性の高い分野のみを当事務所が担当する例もあります。
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