「現場で決めたこと」を、
紛争で通る形に残す。
建設業の紛争の多くは、契約書ではなく現場で始まります。口頭で頼まれた追加工事、図面と異なる施工の指示、工期の延長、引渡し後に「不具合がある」と言われて止まる残金。いずれも、その場では当たり前に進んだことが、後になって「合意はなかった」「契約不適合だ」という主張に姿を変えます。金額が大きく、工事の完了後に争いが顕在化するため、証拠の有無が結果を直接左右します。
越水法律事務所は、建設業法・民法の請負規定・住宅品質確保促進法・労働安全衛生法・取適法を横断して、施工会社・工務店・リフォーム会社の立場から契約と現場運用を整えます。2024年から適用された時間外労働の上限規制、2025年施行の改正建設業法、2026年施行の取適法と改正労働安全衛生法など、建設業を取り巻く法改正は続いており、顧問弁護士として自社に関係する範囲を個別にお伝えします。
建設業・リフォーム業に特有の法的リスク
建設業・リフォーム業の経営者から相談が多い法的リスクと、根拠となる法令です。
工事代金・追加工事代金の未払
請負代金は仕事の完成後に支払われるのが原則であり(民法633条)、施主や元請が「未完成」「不具合がある」と主張して残金の支払を拒む場面は少なくありません。特に追加・変更工事は、書面がないと合意の存在自体を否定されます。建設業法19条は請負契約の内容を書面(電磁的方法を含む)で交付することを義務付け、同条2項は変更契約についても同様に書面化を求めています。注文書・請書・メール・LINEでの合意記録を残す運用と、契約書における出来高払・中間金・追加工事の単価の定めが、回収を確実にする前提です。回収局面では、催告、支払督促、仮差押え、訴訟に加え、元請の資力不安に備えた下請セーフティネットの活用も検討します。
施工不良・契約不適合責任の追及
引渡し後に施工不良が主張された場合、注文者は追完請求・代金減額・損害賠償・解除を求めることができます(民法559条・562条〜564条・636条)。責任追及の期間は、注文者が不適合を知った時から1年以内の通知が必要ですが(同法637条)、新築住宅の構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分については、住宅品質確保促進法94条・95条により引渡しから10年間の瑕疵担保責任が強行的に定められています。契約書で責任の範囲・期間を定めることは可能ですが、品確法の範囲は短縮できません。施工記録・写真・検査記録を残し、不具合の原因が設計・施工・経年のいずれにあるかを技術的に整理することが、責任の有無と範囲を左右します。
改正建設業法・取適法への対応
2024年改正建設業法(2025年12月までに順次施行)により、著しく低い労務費による見積り・契約の禁止、資材高騰時の請負代金変更協議の申出への誠実対応、工期の適正化など、受注者保護と価格転嫁の仕組みが強化されました。あわせて2026年1月施行の中小受託取引適正化法(取適法)は、資本金基準に従業員数基準を加え、建設工事の下請取引そのものは建設業法の規律に委ねつつ、資材の製造委託や設計・測量などの役務提供委託を広く対象とします。元請として発注する側の建設会社は、発注書面の交付、支払期日、一方的な減額の禁止、手形払の制限に注意が必要です。違反は勧告・企業名公表の対象となり、許可行政庁の監督処分にもつながります。
下請・一人親方の労災と安全配慮義務
建設現場では、元請は特定元方事業者として関係請負人を含む労働者の安全を統括管理する義務を負い(労働安全衛生法30条)、労災保険も元請一括が原則です。労働者ではない一人親方についても、建設アスベスト訴訟の最高裁判決(令和3年5月17日)を受けて安全衛生規則が改正され、2026年4月から順次施行される改正労働安全衛生法により、個人事業者等への保護が拡大しています。事故が起きれば、労災保険の給付とは別に、安全配慮義務違反による損害賠償請求が元請・一次下請に及びます。さらに、実態として指揮命令下にある一人親方は労働者と認定され、残業代・社会保険の遡及負担が生じます。契約形態と現場の実態を合わせて点検する必要があります。
時間外労働の上限規制と技能者の確保
2024年4月から建設業にも時間外労働の上限規制(原則月45時間・年360時間、特別条項でも年720時間等)が適用され、違反には罰則があります。工期の設定、現場の交代制、閉所日の確保、固定残業代の適法な設計、管理監督者の範囲など、労務管理の見直しが避けられません。また、外国人技能実習制度は2027年までに育成就労制度へ移行し、受入れ要件や転籍のルールが変わります。人材の確保と法令遵守を両立させる制度設計は、顧問弁護士と社会保険労務士が連携して取り組む領域です。
消費者向けリフォームの特定商取引法
訪問により契約したリフォーム工事は特定商取引法の訪問販売に該当し、法定書面の交付から8日間はクーリングオフが可能で、工事に着手した後であっても契約は解除され、原状回復の費用は事業者負担となります(特定商取引法9条)。不実告知や威迫による勧誘は取消しや行政処分の対象です。書面の記載事項に不備があればクーリングオフ期間は進行しません。契約書・法定書面の整備、営業担当者の説明手順、高齢者との契約における配慮を、事前に整えることが必須です。
建設業・リフォーム業の顧問弁護士ができること
建設業・リフォーム業の顧問先に対して、日常的に提供している業務です。
工事請負契約・下請契約の整備Contracts
建設業法19条の記載事項を満たし、追加・変更工事、出来高払、工期延長、引渡し・検査、契約不適合責任の範囲を明確にした請負契約書・注文書・約款を、元請・下請それぞれの立場で整備します。
- 工事請負契約書・約款(民間・下請)
- 追加・変更工事の合意書式と運用ルール
- 改正建設業法・取適法対応の発注書面
- 一人親方・専門工事業者との契約
- 訪問販売リフォームの法定書面
- 設計・監理契約、JV協定書
工事代金の回収と施工トラブル対応Disputes
未払の工事代金の催告から支払督促・仮差押え・訴訟、施主や元請からの契約不適合の主張への反論、建設工事紛争審査会での調停・仲裁まで、施工会社側の代理人として対応します。
- 内容証明による催告・支払交渉
- 支払督促・仮差押え・訴訟
- 施工不良の主張への技術的・法的反論
- 建設工事紛争審査会の手続
- 近隣からの騒音・振動クレーム対応
- 元請倒産時の債権届出
労務・安全衛生Labor & Safety
時間外上限規制に対応した労働時間制度、現場の安全衛生体制、労災事故発生時の対応、一人親方の労働者性の点検を、建設業の実態に合わせて整備します。
- 就業規則・賃金規程・固定残業代の設計
- 時間外上限規制・変形労働時間制
- 労災事故の初動対応と労基署対応
- 安全配慮義務・特定元方事業者の体制
- 一人親方・下請の労働者性の点検
- 育成就労制度への移行対応
許認可・経営Corporate
建設業許可の取得・更新・業種追加、経営事項審査、監督処分への対応、事業承継やM&A、資金繰りが悪化した際の再建手続まで、経営全体を支援します。
- 建設業許可の取得・更新・変更届
- 監督処分・行政指導への対応
- 事業承継・後継者への株式移転
- 建設会社のM&A・デューデリジェンス
- 金融機関との交渉・事業再生
- 反社会的勢力の排除体制
建設業・リフォーム業の顧問弁護士として選ばれる理由
建設業・リフォーム業の顧問弁護士として、当事務所が提供できる価値です。
現場の記録を「証拠」に変える
建設紛争は、合意と施工の記録が残っているかで決まります。当事務所は、注文書・打合せ記録・写真・検査記録の残し方を現場の運用に落とし込み、紛争になったときに会社の主張が通る体制を平時から整えます。
法改正の継続的なフォロー
時間外上限規制、改正建設業法、取適法、改正労働安全衛生法、育成就労制度と、建設業の法改正は続いています。当事務所は法改正の解説コラムを継続的に発信し、顧問先には自社に関係する改正点を個別にお伝えします。
施工会社側の立場で大手相手にも対応
所属弁護士は企業法務の実務経験を重ねています。ゼネコン・大手ハウスメーカー・金融機関を相手にする交渉や、建設工事紛争審査会・訴訟の手続でも、対等に対応します。
よくあるご相談例
建設業・リフォーム業の顧問先から実際に多くいただく相談の類型です。
追加工事を口頭で頼まれて施工したが、施主が代金を払わない。
打合せ記録・メール・LINE・写真から合意の存在を立証できるかを検討し、商法512条の報酬請求や不当利得の構成も含めて請求方針を組み立てます。今後の追加工事は書式で合意する運用に改めます。
引渡しから2年後に「雨漏りがする」と補修と損害賠償を求められた。
品確法の10年責任の対象部分か、原因が施工・設計・経年のいずれかを技術的に整理し、責任の有無と範囲、補修対応の要否を判断します。保険(瑕疵保険・賠償責任保険)の適用も確認します。
元請から資材高騰分の価格転嫁を拒まれている。
改正建設業法の請負代金変更協議の申出と誠実対応義務、取適法の一方的な代金決定の禁止を根拠に、協議の申入れ書面を作成し、必要に応じて行政への相談も視野に交渉を進めます。
現場で一人親方が転落し、大けがをした。
労災保険(特別加入の有無)、労基署への報告、元請としての安全配慮義務の検討、本人・家族への対応、再発防止策を初動から整理します。損害賠償請求を受けた場合の対応方針も立てます。
訪問営業で契約したリフォーム工事を、着工後にクーリングオフされた。
法定書面の記載と交付日を確認し、クーリングオフの成否を判断します。成立する場合の原状回復の範囲と費用負担を整理し、あわせて営業手順と書面を是正します。
時間外上限規制に現場が対応できず、36協定の範囲を超えそうだ。
工期の設定、閉所日、交代制、変形労働時間制、管理監督者の範囲を見直し、社会保険労務士と連携して適法な労働時間制度を設計します。
よくあるご質問
建設業・リフォーム業の経営者の方からよくいただく質問です。
従業員数名の工務店でも顧問契約できますか。
はい。規模を問いません。小規模な工務店ほど一件の未払や施工トラブルが経営に直結するため、契約書と現場の記録を早く整える価値があります。事業規模に応じた顧問料をご提案します。
工事代金の回収を依頼したら、費用はどうなりますか。
催告書の作成や交渉方針の助言は顧問料の範囲で行います。支払督促・仮差押え・訴訟の代理を受任する場合は個別にお見積りしますが、顧問先には着手金・報酬を優遇します。
建設業許可や経営事項審査の手続も頼めますか。
許可要件の整理や監督処分への対応は弁護士が担当し、申請書類の作成は提携する行政書士と連携します。一つの窓口で完結します。
地方の現場が多いのですが、対応できますか。
はい。メール・チャット・電話・Web会議で全国に対応しています。現場調査や審査会の期日など、必要な場合は現地に伺います。
建設業・リフォーム業の経営者のための関連コラム
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