取引の一件一件を、
免許と信用を守る形で進める。
不動産取引は、当事者の利害が大きく、法令上の説明義務と契約上の責任が重なる分野です。売買では契約不適合責任と説明義務、仲介では媒介契約と重要事項説明、賃貸では滞納・明渡し・原状回復、管理では区分所有者や管理組合との関係。いずれも宅地建物取引業法の監督処分と隣り合わせであり、紛争になれば免許・信用・資金繰りの三つに同時に影響します。
越水法律事務所は、宅建業法・民法(売買・賃貸借)・借地借家法・区分所有法・賃貸住宅管理業法を横断して、不動産会社の取引と運営を点検します。登記は司法書士が、税務は税理士が担当し、不動産取引に付随する登記・税務の論点を一つの窓口で解決できる体制を、顧問弁護士として継続的に提供します。
不動産業・宅建業に特有の法的リスク
不動産業・宅建業の経営者から相談が多い法的リスクと、根拠となる法令です。
売買における契約不適合責任と説明義務
2020年施行の改正民法により、売買の目的物が種類・品質・数量に関して契約の内容に適合しない場合、買主は追完請求・代金減額・損害賠償・解除を求めることができます(民法562条〜564条)。宅建業者が自ら売主となる場合、契約不適合責任の通知期間を引渡しから2年以上とする特約以外に買主に不利な特約は無効です(宅地建物取引業法40条)。雨漏り・シロアリ・地中埋設物・土壌汚染・境界・越境といった物理的な不適合に加え、心理的瑕疵(人の死の告知)については国土交通省のガイドライン(令和3年10月)が告知の範囲を示しており、説明の有無と記録が紛争の帰趨を決めます。
重要事項説明・媒介契約をめぐる仲介責任
宅建業者は、契約成立前に宅地建物取引士による重要事項説明(宅建業法35条)を行い、契約成立後遅滞なく37条書面を交付する義務を負います。説明すべき事項の漏れや誤り、調査義務の不履行は、買主・借主に対する損害賠償責任と、監督処分(指示・業務停止・免許取消)の両方につながります。媒介契約では、専任・専属専任の書面交付と指定流通機構への登録、報酬額の上限(国土交通省告示)が問題になり、両手仲介における利益相反や、成約に至らなかった場合の報酬請求の可否も争点となります。
賃貸借の滞納・明渡し・原状回復
家賃滞納が生じても、賃貸人が鍵を交換したり荷物を搬出したりする自力救済は違法であり、損害賠償の対象となります。解除には信頼関係の破壊が必要とされ、実務上は3か月程度の滞納と催告を経て、明渡請求訴訟と強制執行の手続を踏むことになります。原状回復については、国土交通省のガイドラインと2020年改正民法621条(通常損耗・経年変化は借主負担でない)を前提に、特約の有効性が厳格に判断されます。家賃保証会社の追い出し条項を無効とした最高裁判決(令和4年12月12日)が示すように、契約書の条項が消費者契約法に照らして無効となるリスクにも注意が必要です。
サブリース・賃貸住宅管理業の規制
2020年に成立した賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律により、サブリース業者(特定転貸事業者)には、誇大広告・不当勧誘の禁止、契約締結前の書面交付と説明義務が課され、賃貸住宅管理業者には登録制と業務管理者の配置、財産の分別管理、定期報告が義務付けられました。「家賃保証」「30年一括借上げ」といった表現は、将来の家賃減額の可能性を明示しなければ誇大広告に該当し得ます。違反には業務停止や罰則があり、オーナーとの紛争では借地借家法32条の賃料減額請求の可否も絡みます。
開発・用地取得と管理組合・近隣対応
用地の取得では、境界確定、越境物、地中埋設物、土壌汚染対策法の調査義務、農地転用、都市計画法の開発許可、建築基準法の接道要件などが取引の前提となります。分譲後は管理組合の設立と管理規約の整備、大規模修繕、滞納管理費の回収(区分所有法7条の先取特権・59条の競売請求)が続きます。近隣からの日照・騒音・工事振動のクレームは、事業スケジュールに直結するため、初動での説明と記録が重要です。
反社会的勢力の排除と本人確認
宅建業者は、犯罪収益移転防止法上の特定事業者として、売買の際に取引時確認と疑わしい取引の届出が義務付けられています。また、暴力団排除条例と業界の標準契約条項により、売買・賃貸借のいずれでも反社会的勢力排除条項の設置が実務上の標準です。反社会的勢力との取引が判明した場合の解除と、それに伴う損害の処理、賃貸物件が違法な用途に使われた場合の対応は、契約条項と社内の確認手順を平時から整えておく必要があります。
不動産業・宅建業の顧問弁護士ができること
不動産業・宅建業の顧問先に対して、日常的に提供している業務です。
売買・仲介の契約と説明体制Transactions
売買契約書・重要事項説明書・媒介契約書のひな型を整備し、個別の取引でリスクの高い物件(心理的瑕疵、境界、埋設物、再建築不可など)の説明内容と特約を設計します。
- 売買契約書・特約の設計
- 重要事項説明書の点検・調査事項の整理
- 媒介契約・報酬請求の整理
- 心理的瑕疵・告知事項の判断
- 契約不適合責任の追及への対応
- 手付解除・違約金の処理
賃貸・管理業務Leasing & Management
賃貸借契約書と管理委託契約書の整備、滞納・明渡し・原状回復の対応、サブリース・賃貸住宅管理業法の遵守体制、管理組合との関係を継続的に支援します。
- 賃貸借契約書・管理委託契約書
- 家賃滞納の催告・明渡請求・強制執行
- 原状回復・敷金精算の紛争対応
- サブリース契約の適法化
- 管理組合の運営支援・管理費回収
- 入居者トラブル・近隣クレーム対応
開発・用地取得・投資Development
用地取得のデューデリジェンス、開発許可・建築規制の整理、建設会社との請負契約、投資家との共同事業契約や信託・SPCスキームまで、案件の規模に応じて支援します。
- 用地取得のデューデリジェンス
- 開発許可・建築基準法の整理
- 工事請負契約・設計監理契約
- 共同事業契約・SPC・信託スキーム
- 不動産ファンド・REITへの組入れ
- 近隣対応・行政協議
許認可・組織・登記税務Compliance
宅建業免許の維持、監督処分への対応、社内の法令遵守体制、反社チェック手順、従業員の労務管理、登記・税務を、司法書士・税理士と連携して一つの窓口で扱います。
- 宅建業法の監督処分・行政指導対応
- 犯罪収益移転防止法の取引時確認体制
- 反社会的勢力排除の社内手順
- 所有権移転・抵当権の登記(司法書士)
- 不動産取引の税務(税理士)
- 営業担当者の労務・歩合給の設計
不動産業・宅建業の顧問弁護士として選ばれる理由
不動産業・宅建業の顧問弁護士として、当事務所が提供できる価値です。
登記・税務まで一つの窓口で
当事務所には司法書士・税理士が在籍しています。売買に伴う登記、譲渡所得や消費税の取扱い、法人化やスキームの税務を、法務と切り離さずに設計できます。
免許と信用を守る予防法務
宅建業の紛争は、損害賠償だけでなく監督処分に直結します。重要事項説明の調査項目、告知事項の判断基準、契約書の特約、反社チェックの手順を社内の運用に落とし込み、処分を受けない体制を平時から整えます。
大型案件にも対応
所属弁護士は不動産・ファイナンス・M&A案件の実務経験を有しています。開発案件、投資家との共同事業、REITやファンドへの組入れなど、規模の大きい取引にも対応します。
よくあるご相談例
不動産業・宅建業の顧問先から実際に多くいただく相談の類型です。
売却した中古住宅の買主から、雨漏りを理由に修補費用を請求された。
契約不適合の該当性、告知・説明の内容、通知期間、特約の有効性を整理し、責任の有無と範囲を判断します。仲介として関与した場合は調査説明義務の観点からも検討します。
過去に室内で人が亡くなった物件を仲介するが、どこまで告知すべきか。
国土交通省のガイドラインに沿って、死因・経過期間・告知の相手方ごとに告知の要否を整理し、重要事項説明書と契約書の記載を設計します。
3か月滞納している入居者が連絡に応じない。
催告書の送付、保証会社との連携、解除通知、明渡請求訴訟、強制執行までの手順とスケジュールを示し、自力救済にならない対応を徹底します。
サブリースの広告表現が賃貸住宅管理業法に触れないか不安だ。
家賃減額の可能性、契約期間中の解約条件、修繕費の負担を明示した広告と契約前書面を整備し、誇大広告・不当勧誘に該当しない表現に改めます。
管理組合から管理費の長期滞納者への対応を求められている。
区分所有法7条の先取特権に基づく回収、支払督促・訴訟、59条の競売請求の要件を整理し、管理組合の総会決議から手続までを支援します。
購入予定地の隣地との境界が確定しておらず、越境もある。
境界確定の手続、越境物の覚書、測量と登記の段取りを司法書士・土地家屋調査士と連携して整理し、契約書の特約と決済条件に反映します。
よくあるご質問
不動産業・宅建業の経営者の方からよくいただく質問です。
従業員数名の不動産仲介会社でも顧問契約できますか。
はい。仲介中心の小規模な会社ほど、一件の説明義務違反が監督処分や損害賠償に直結します。重要事項説明の点検と契約書の整備から始める顧問契約をご提案します。
明渡しの訴訟や強制執行まで顧問料で対応してもらえますか。
催告書の作成や手順の助言は顧問料の範囲で行います。訴訟・強制執行の代理を受任する場合は個別にお見積りしますが、顧問先には着手金・報酬を優遇します。
登記や税務の相談も同時にできますか。
はい。司法書士・税理士が在籍しており、売買に伴う登記や税務の論点を同じ窓口で相談できます。
管理組合や区分所有者への対応も対象ですか。
はい。管理会社として管理組合を支援する場面、管理費の回収、総会運営、規約改正など、区分所有法に関する助言も顧問業務に含まれます。
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