権利の処理を、
納品の前に終わらせておく。
広告や映像、Web、SNSの制作現場では、「誰の権利をどこまで処理したか」が納品後に問題になります。広告主から二次利用の要求を受けたが素材の許諾範囲を超えている、外注クリエイターとの契約に著作権譲渡の定めがない、出演者の肖像の利用期間が切れている、生成AIで作った素材の権利関係が説明できない。いずれも、契約と発注のルールを平時に整えていれば防げるものです。
越水法律事務所は、著作権法・肖像権とパブリシティ権・景品表示法・薬機法・取適法・フリーランス法を横断して、制作と取引の流れを点検します。特許庁で審査実務に携わった弁護士・弁理士と弁理士が知財を担当し、生成AIを活用したクリエイティブ制作の法的整理にも取り組んでいます。広告代理店・制作会社・SNS運用会社・メディア企業の顧問弁護士として、制作のスピードを落とさない体制を継続的に支えます。
広告・制作・メディア事業に特有の法的リスク
広告・制作・メディア事業の経営者から相談が多い法的リスクと、根拠となる法令です。
制作物の著作権帰属と二次利用
制作物の著作権は、契約に定めがなければ制作者に帰属します。広告主に著作権を譲渡する場合、翻案権・二次的著作物の利用権(著作権法27条・28条)を明記しなければ譲渡されなかったものと推定され(同法61条2項)、著作者人格権(同法18条〜20条)は譲渡できないため不行使特約が必要です。外注したクリエイターやカメラマンの成果物についても同様であり、下流で権利を取得していなければ上流の広告主に譲渡することはできません。素材(写真・音楽・フォント)のライセンスは媒体・期間・地域が限定されていることが多く、Web用に許諾を受けた素材をテレビCMに流用すれば権利侵害となります。制作・発注・納品の各段階で権利の連鎖を契約で整えることが基本です。
肖像権・パブリシティ権とタレント・インフルエンサー契約
出演者の肖像を広告に用いるには本人の許諾が必要であり、著名人の肖像や氏名が持つ顧客吸引力を無断で利用することはパブリシティ権の侵害となります(最高裁平成24年2月2日判決)。出演契約では、利用媒体・期間・地域、契約終了後の使用、競合商品への出演制限、SNSでの投稿義務、不祥事時の解除と違約金を定めます。インフルエンサーへの依頼投稿には、2023年10月施行のステルスマーケティング規制により「PR」「広告」等の明示が必要で、表示義務を負うのは広告主ですが、制作・運用を担う代理店は広告主に対する契約上の責任を問われます。一般の方を撮影した映像や街頭の写り込みについても、公表の態様によっては肖像権侵害となります。
広告主の表示規制と制作側の責任
景品表示法の優良誤認・有利誤認(5条)の表示主体は広告主ですが、制作会社や代理店が表示内容の決定に関与している場合には、広告主から損害賠償や契約解除を求められ、悪質な場合は共同の責任を問われる可能性があります。薬機法66条の虚偽・誇大広告の禁止は「何人も」が対象であり、制作会社や媒体社にも直接適用されます。化粧品・健康食品・医療機関・金融商品・不動産の広告には、それぞれ業法上の表示規制があり、制作の初期段階で規制の適用関係を整理しなければ、納品直前の作り直しや掲載後の措置命令につながります。
取適法(旧下請法)とフリーランス法
広告制作・映像制作・Web制作の外注は情報成果物作成委託として下請法の対象でしたが、2026年1月施行の中小受託取引適正化法(取適法)により、資本金基準に従業員数基準が加わり適用範囲が広がりました。発注書面の交付、受領後60日以内の支払、一方的な減額・やり直しの禁止、価格協議への応諾義務などが求められ、違反は勧告・企業名公表の対象です。個人のクリエイターへの発注には、2024年11月施行のフリーランス法により、取引条件の明示、報酬の60日以内の支払、ハラスメント対策、募集情報の的確表示が義務付けられています。代理店から制作会社、制作会社から個人へと多段階で発注する業界構造では、各段階で法令が適用されます。
生成AIを用いた制作と著作権
生成AIの利用は制作の効率を大きく高める一方、生成物が既存の著作物に類似し依拠性が認められれば著作権侵害となり、生成物に人の創作的寄与がなければ著作物として保護されず、広告主に権利を譲渡することもできません。文化庁の「AIと著作権に関する考え方について」(2024年3月)は、学習段階(著作権法30条の4)と生成・利用段階を分けて整理しています。実在の人物の声や容貌を再現する利用は、肖像権・パブリシティ権・不正競争防止法の問題を生じます。広告主に対して、生成AIの利用範囲、生成物の権利関係、第三者の権利を侵害しないための確認手順を説明できる体制を整える必要があります。
メディア運営における名誉毀損・炎上・削除請求
Webメディア・SNSアカウントの運営では、記事や投稿が名誉毀損・プライバシー侵害・信用毀損に当たるとして、削除請求や損害賠償請求を受けることがあります。公共性・公益目的・真実性(または真実相当性)の要件を満たすかどうかは、取材過程と証拠の保存で決まります。炎上が起きた場合、削除・訂正・謝罪の判断と公表文の内容を短時間で決めなければならず、初動の誤りが被害を広げます。広告主やクライアントのアカウントを運用する場合、投稿の事前確認の体制と、炎上時の責任分担を契約で定めておくことが必要です。
広告・制作・メディア事業の顧問弁護士ができること
広告・制作・メディア事業の顧問先に対して、日常的に提供している業務です。
制作・取引契約の整備Contracts
広告主・代理店との制作契約、外注クリエイターへの業務委託契約、出演契約、素材のライセンス契約を、権利の連鎖が途切れない形で設計し、提示された契約のリスク条項を修正します。
- 広告制作・映像制作・Web制作の基本契約
- 著作権譲渡・利用許諾・人格権不行使条項
- クリエイター向け業務委託契約(フリーランス法対応)
- タレント・インフルエンサーの出演契約
- 素材・音楽・フォントのライセンス確認
- SNS運用代行・レベニューシェア契約
広告規制・表示チェックAdvertising Compliance
広告主の業種に応じて、景品表示法・薬機法・医療広告ガイドライン・金融商品取引法・宅建業法などの表示規制を制作の初期段階で整理し、原稿・動画・LPを公開前に点検します。
- クリエイティブの事前チェックと言い換え案
- ステマ規制対応の表記ルール
- 化粧品・健康食品・医療広告の表現
- No.1表示・比較広告の根拠整理
- 懸賞・キャンペーンの景品規制
- 行政からの照会・措置命令への対応
知的財産・生成AIIP & AI
制作物の権利保護、商標・意匠の権利化、侵害警告への対応、生成AIを用いた制作の法的整理とガイドライン策定を、特許庁審査官出身の弁護士・弁理士と弁理士が担当します。
- 生成AI利用ガイドラインと広告主への説明資料
- 生成物の権利関係の整理
- 商標・意匠・キャラクターの権利化
- 著作権侵害の警告への対応・差止請求
- 営業秘密・企画書の管理
- 海外クライアントとの英文契約
メディア運営・危機対応・労務Media & Crisis
記事・投稿の名誉毀損リスクの事前確認、削除請求への対応、炎上時の初動、クリエイティブ職の労務管理と長時間労働対策まで、メディア事業の運営を支援します。
- 記事・投稿の法的リスク確認
- 削除請求・損害賠償請求への対応
- 炎上時の初動・公表文の作成
- クリエイティブ職の裁量労働制・固定残業代
- 取適法対応の発注体制
- 退職者による顧客・企画の持出し対応
広告・制作・メディア事業の顧問弁護士として選ばれる理由
広告・制作・メディア事業の顧問弁護士として、当事務所が提供できる価値です。
生成AIとクリエイティブの法務に取り組んでいる
当事務所は、生成AIを活用したクリエイティブ制作の法的整理や、生成AIの業務利用ガイドラインに関する発信を行っています。AIを制作に取り入れる際の権利処理と広告主への説明を、実務に即して支援します。
技術と権利を理解する知財チーム
特許庁で審査実務に携わった弁護士・弁理士と弁理士が在籍しています。著作権・商標・意匠の権利化から、制作物の権利の連鎖の設計、侵害警告への対応まで一貫して担当します。
代表弁護士のメディア出演経験
代表弁護士はテレビ番組に多数出演し、メディアの制作現場と放送・出演に関する実務を経験しています。制作会社やメディア企業の相談に、現場の感覚を踏まえて対応します。
よくあるご相談例
広告・制作・メディア事業の顧問先から実際に多くいただく相談の類型です。
広告主から、納品したWeb動画をテレビCMにも使いたいと言われた。
出演者・音楽・素材の許諾範囲、外注クリエイターとの権利処理、制作契約の利用範囲を確認し、追加許諾と追加料金の整理をしたうえで、二次利用の合意書を作成します。
インフルエンサーに依頼した投稿に「PR」表記がなく、広告主から責任を問われている。
ステマ規制の該当性と契約上の責任分担を確認し、投稿の修正、広告主への説明、今後の依頼契約と表記ルールの整備を進めます。
生成AIで作ったキービジュアルを広告主に納品してよいか。
生成の過程と人の創作的寄与、既存作品との類似性、使用したツールの利用規約を確認し、権利関係の説明と契約上の手当て(保証の範囲)を整理したうえで納品の可否を判断します。
発注元の代理店から、納品後に理由なく減額を求められた。
取適法の減額禁止・やり直しの禁止に該当するかを検討し、書面での申入れと、必要に応じて公正取引委員会・中小企業庁への相談を含めた対応を組み立てます。
Webメディアの記事について、企業から名誉毀損だとして削除を求められた。
公共性・公益目的・真実性の要件を取材資料に基づいて検証し、削除・訂正・反論のいずれで対応するかを判断します。訴訟に発展した場合の代理も行います。
退職したディレクターが、担当していたクライアントの企画をそのまま競合で提案している。
企画書の営業秘密該当性、秘密保持・競業避止の合意、クライアントとの契約上の義務を確認し、警告書や差止請求の可否を判断します。
よくあるご質問
広告・制作・メディア事業の経営者の方からよくいただく質問です。
少人数の制作会社でも顧問契約できますか。
はい。制作契約と業務委託契約のひな型、権利処理のチェックリストは、規模にかかわらず整えておく価値があります。事業規模に応じた顧問料をご提案します。
制作の途中で急ぎの確認をしたい場合は。
貴社のチャットツールに担当弁護士が参加し、公開前のクリエイティブや契約条項の確認に迅速に対応します。簡易な質問は当日から翌営業日中を目安にお答えします。
クライアントから求められる契約書のリスクを説明してもらえますか。
はい。広告主や代理店から提示された契約書について、受け入れ可能な範囲と修正すべき条項を整理し、交渉の順序と説明の仕方までご提案します。
生成AIの利用ルールを社内で作りたいのですが。
利用してよい範囲、権利処理の確認手順、広告主への説明方法、機密情報の入力制限を含む社内ガイドラインを、貴社の制作フローに合わせて作成します。
広告・制作・メディア事業の経営者のための関連コラム
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