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消費税の滞納と黒字倒産 ― 預り金的性格と資金繰り上の構造要因(不課税仕入れ・中間申告・税込経理)、督促から差押えに至る滞納処分と延滞税、納税の猶予・換価の猶予の要件、破産手続における租税債権の取扱いと代表者の第二次納税義務

国税庁が令和7年8月に公表した「令和6年度租税滞納状況の概要」によれば、令和6年度に新たに発生した国税の滞納額は9,925億円と前年度比24.1%増加し、そのうち消費税が5,298億円と5割超を占めています。消費税は、法人税や所得税と異なり所得(利益)を課税標準としないため、最終損益が黒字か赤字かにかかわらず納付税額が生じ、かつ課税売上げに伴って受領した税相当額が売上代金と混然一体となって運転資金に充てられやすいという構造を有します。本稿では、消費税が黒字企業においても滞納に至る構造要因を整理したうえで、督促から差押えに至る滞納処分の手続と延滞税、納付が困難となった場合の納税の猶予・換価の猶予の要件、破産手続における租税債権の取扱いと代表者個人への波及(第二次納税義務)を解説し、納税資金管理の点検事項をまとめます。

1 消費税滞納の現状 ― 統計が示す構造

(1) 国税庁「令和6年度租税滞納状況の概要」

同資料によれば、令和6年度の新規発生滞納額は9,925億円(前年度比1,928億円・24.1%増)、整理済額は9,488億円、令和6年度末の滞納整理中のものの額(滞納残高)は9,714億円(前年度比4.7%増)です。税目別の新規発生滞納額は、消費税5,298億円(前年度比20.9%増)、申告所得税1,937億円、法人税1,627億円(同62.5%増)、相続税491億円、源泉所得税406億円であり、消費税が全体の約53%を占めます。消費税の滞納残高も3,956億円と前年度から10.5%増加しました。なお、同資料における「滞納」とは、国税が納期限までに納付されず、督促状が発付されたものをいい、徴収決定済額に占める新規発生滞納額の割合(滞納発生割合)は1.2%と低水準で推移しているものの、滞納の発生額そのものはピーク時(平成4年度・1兆8,903億円)の約5割の水準にまで増加しています。

(2) 税金滞納を一因とする倒産の動向

東京商工リサーチの調査によれば、税金(公租公課)滞納などの「税金関連」を原因とするコンプライアンス違反倒産は2024年に176件と前年(92件)の1.9倍に増加し、2013年以降で最多を記録しました。2025年の「税金(社会保険料含む)滞納」倒産は159件(前年比10.6%減)と減少したものの、2年連続で100件を超える高水準にあり、その95.5%(152件)が破産です。また、同社が2025年に倒産した企業794社の財務データを分析したところ、最新期の最終損益が赤字であった企業は64.3%にとどまり、約3社に1社(35.7%)は直前期に最終黒字を計上していたことが示されています。損益計算書上は黒字であっても納税資金が確保されていなければ事業は継続できないという、いわゆる黒字倒産の一類型が、消費税の滞納を契機として顕在化しているといえます。

2 消費税が黒字企業でも滞納に至る構造要因

(1) 取引課税と「預り金」的性格

消費税は、事業者が国内において行った課税資産の譲渡等を課税対象とし、課税期間中の課税売上げに係る消費税額から、課税仕入れ等に係る消費税額を控除した残額を納付する多段階の付加価値税です(消費税法30条の仕入税額控除)。法律上、納税義務者は事業者であり、消費者から預かった金銭を国に納付するという法的構成が採られているわけではありませんが、消費税相当額は取引の対価に含めて転嫁されることが予定されており、事業者の手元に入金される税相当額は、経済的には最終消費者が負担する税を一時的に保有しているにすぎません。資金繰りの観点からは、課税売上げに伴って受領した消費税相当額は「自社の資金ではない」ものとして扱うことが、滞納防止の出発点となります。

法人税との最大の相違は、課税標準です。法人税は各事業年度の所得を課税標準とするため、欠損であれば納付税額は生じません。これに対し消費税は取引に着目して課税されるため、最終損益が赤字であっても、課税売上げが課税仕入れを上回る限り納付税額が発生します。「赤字だから税金はかからない」という認識のまま決算を迎え、申告時に多額の納付税額が判明するという事態は、この構造の理解不足に起因します。

(2) 不課税仕入れ ― 給与等が控除の対象とならない

仕入税額控除の対象となるのは課税仕入れに限られます。国税庁のタックスアンサー(No.6157)が示すとおり、給与・賃金は「雇用契約に基づく労働の対価であり、事業者が事業として行う取引ではない」ため不課税であり、社会保険料、保険料、支払利息、租税公課等も控除の対象となりません。したがって、売上原価に占める人件費の比率が高い労働集約型の事業(介護、警備、運送、システム受託開発、人材サービス等)では、課税売上げに係る消費税額の大部分がそのまま納付税額となり、売上規模に比して消費税の負担が相対的に重くなります。従業員の増員や賃上げは法人税の課税所得を減少させる一方、消費税の納付税額を減少させる効果は一切ないという点は、成長局面にある企業ほど留意を要します。なお、外注費は課税仕入れに該当し得ますが、令和5年10月に開始した適格請求書等保存方式(インボイス制度)の下では、適格請求書発行事業者以外の者からの仕入れについて控除できる金額が段階的に制限されており、免税事業者への外注に依存する事業者は控除額の減少にも注意が必要です。

(3) 申告納付期限と中間申告

法人の消費税は、原則として課税期間の末日の翌日から2か月以内に確定申告書を提出し、同期限までに納付します(消費税法45条・49条)。法人税について申告期限の延長の特例を受けている法人が「消費税申告期限延長届出書」を提出した場合には申告期限が1か月延長されますが、延長期間中は利子税が課されます。したがって、決算期末から2か月後には法人税・地方税と消費税の納付がまとまって到来し、決算賞与や設備投資等と重なると納税資金が不足しやすくなります。

さらに、直前の課税期間の確定消費税額(地方消費税を除く国税分)に応じて中間申告・納付の義務が生じます(消費税法42条・48条)。国税庁タックスアンサー(No.6609)によれば、確定消費税額が48万円超400万円以下であれば年1回、400万円超4,800万円以下であれば年3回、4,800万円超であれば年11回の中間申告が必要です。中間納付額は原則として前期実績を基礎に算定されるため、売上が拡大した翌期には前期実績ベースの前払いと当期の税額増加が同時に生じ、成長投資や増員による資金流出と重なります。業績が急落した場合には、仮決算に基づく中間申告(同法43条)により中間納付額を実額に引き直すことが可能であり、資金繰りが逼迫する局面では検討に値します。

(4) 税込経理による損益認識の歪み

法人は、消費税の経理処理として税抜経理方式と税込経理方式のいずれも選択できます(国税庁タックスアンサーNo.6905)。税込経理方式を採用している場合、月次の売上高には消費税相当額が含まれて計上され、納付税額は決算時に租税公課として一括計上されるため、期中の月次損益が実態より良好に見え、消費税相当額を利益と誤認して配当・賞与・投資に充ててしまう危険があります。経営判断に用いる月次数値は税抜ベースで把握し、納付予定額を月次で認識することが、滞納の未然防止に直結します。

3 滞納処分の手続と滞納者の負担

(1) 督促と差押え ― 裁判所の関与を要しない自力執行

納税者が国税を納期限までに完納しない場合、税務署長は督促状によりその納付を督促しなければならず(国税通則法37条1項)、督促を受けた滞納者が督促状を発した日から起算して10日を経過した日までに完納しないときは、徴収職員は滞納者の国税につきその財産を差し押さえなければならないとされています(国税徴収法47条1項1号)。国税の徴収は、私債権と異なり、債務名義の取得や裁判所による強制執行の手続を経ることなく、行政機関自らが差押え・換価・配当を行う滞納処分(国税通則法40条)によって実現される点に最大の特徴があります。督促状の発付から差押えの要件充足までの期間は短く、「まだ何も言ってこないから大丈夫」という判断が通用する余地はありません。

(2) 債権差押えと第三債務者への通知 ― 信用毀損の発生

差押えの対象財産に制限はなく、不動産、動産、預金、売掛金、生命保険の解約返戻金請求権等が広く対象となります。とりわけ実務上影響が大きいのは債権の差押えです。債権の差押えは、第三債務者に対する差押通知書の送達によって行われ(国税徴収法62条1項)、徴収職員は差し押さえた債権を取り立てることができます(同法67条1項)。預金債権が差し押さえられれば金融機関に、売掛金が差し押さえられれば取引先に、それぞれ差押通知書が送達されるため、滞納の事実は直ちに与信関係者の知るところとなります。金融機関との取引においては、差押えは銀行取引約定上の期限の利益喪失事由に該当するのが通常であり、既存融資の一括返済請求や新規融資の停止につながります。取引先においては、与信限度の引下げ、現金取引への切替え、取引停止といった対応が想定され、営業活動そのものが立ち行かなくなるおそれがあります。

(3) 延滞税

国税を法定納期限までに納付しない場合、法定納期限の翌日から納付の日までの日数に応じた延滞税が課されます(国税通則法60条)。延滞税の割合は、本則では年7.3%(納期限の翌日から2か月を経過する日まで)および年14.6%(その後)ですが、延滞税特例基準割合に基づく特例により、令和8年(2026年)は年2.8%(2か月以内)および年9.1%(2か月経過後)とされています(令和4年から令和7年までは年2.4%・8.7%)。金利上昇局面において延滞税の割合も上昇傾向にあり、長期の滞納は元本に対して無視できない負担となります。

(4) 悪質事案への対応 ― 第二次納税義務と滞納処分免脱罪

滞納法人から代表者や関連会社への財産移転が行われた場合、国税当局は第二次納税義務の賦課や刑事告発により対応します。滞納者の財産について、法定納期限の1年前の日以後に無償または著しく低い額の対価による譲渡等が行われ、滞納処分を執行してもなお徴収すべき額に不足すると認められるときは、その譲受人等が受けた利益の限度で第二次納税義務を負います(国税徴収法39条)。前掲の国税庁資料には、滞納法人所有不動産の売却代金の一部を代表者が自らの貸付金の返済名目で受領していたところ、当該貸付金が架空であることが判明したため、滞納法人から代表者への無償譲渡に該当すると判断して代表者に第二次納税義務を賦課し、滞納国税の全額を徴収した事例が掲載されています。また、滞納処分の執行を免れる目的で財産を隠蔽し、損壊し、または国の不利益に処分する等の行為は滞納処分免脱罪(同法187条)に該当し、同資料によれば令和6年度には6件・8人(社)が告発されています。掲載事例では、差押えの予告を受けた代表者が、滞納法人所有の自動車12台等(時価4,220万円相当)を関連法人に300万円で売却した行為が告発の対象となっています。会社の危機時に経営者が行いがちな「会社財産の身内への移転」は、租税債権との関係では第二次納税義務と刑事責任の双方のリスクを伴います。

4 倒産手続における租税債権の取扱いと経営者個人への波及

(1) 破産手続における財団債権・優先的破産債権

破産手続においては、破産手続開始前の原因に基づいて生じた租税等の請求権のうち、破産手続開始当時にまだ納期限の到来していないもの、または納期限から1年を経過していないものは財団債権とされ(破産法148条1項3号)、破産手続によらず破産財団から随時弁済を受け、破産債権に優先します。納期限から1年を経過した租税等の請求権も、一般の先取特権を有する優先的破産債権として他の破産債権に優先します(同法98条1項)。したがって、消費税の滞納を抱えたまま破産に至った場合、破産財団の相当部分が租税債権の弁済に充てられ、一般債権者への配当原資が減少します。民事再生手続においても租税等の請求権は一般優先債権として再生手続によらずに随時弁済すべきものとされており、滞納額が大きい場合には再生計画の実行可能性そのものが問われることになります。事業再生を志向するのであれば、租税債権への対応(猶予制度の利用、分割納付の履行)は、金融機関に対するリスケジュール交渉と並ぶ最優先事項です。

(2) 経営者個人への波及

法人が納税義務者である消費税について、代表者個人が当然に納付義務を負うことはありません。しかし、前記のとおり、滞納法人から代表者への無償または著しく低い対価による財産移転があれば第二次納税義務(国税徴収法39条)が生じ得るほか、法人の解散後に残余財産を分配した清算人および残余財産の分配を受けた者にも第二次納税義務が課され得ます(同法34条)。また、個人事業主については、租税等の請求権は免責許可決定の効力が及ばない非免責債権であり(破産法253条1項1号)、破産によっても消費税の滞納額から解放されることはありません。経営者保証に基づく金融債務が経営者保証に関するガイドラインや免責によって整理され得るのとは異なり、租税債務は倒産手続を通じても最後まで残る債務であることを認識しておく必要があります。

5 納付困難時の法的対応 ― 納税の猶予と換価の猶予

(1) 申請による換価の猶予(国税徴収法151条の2)

国税を一時に納付することにより事業の継続または生活の維持を困難にするおそれがあると認められる場合において、納税者が納税について誠実な意思を有すると認められるときは、税務署長は、申請に基づき、原則として1年以内の期間に限り、その国税の換価(差押財産の売却)を猶予することができます。国税庁タックスアンサー(No.9206)によれば、申請による換価の猶予の要件は、①国税を一時に納付することにより事業の継続または生活の維持を困難にするおそれがあると認められること、②納税について誠実な意思を有すると認められること、③猶予を受けようとする国税以外の国税の滞納がないこと、④納付すべき国税の納期限から6か月以内に申請書が提出されていること、⑤原則として担保の提供があること(猶予を受ける金額が100万円以下である場合等は不要)であり、猶予期間は最も早く完納できると認められる期間(原則1年以内、延長を含めて最長2年)で、猶予期間中は各月に分割して納付します。猶予が認められると、猶予期間中の延滞税が免除または軽減され、既に差し押さえられている財産があっても換価が猶予されるほか、新たな差押えを回避することが期待できます。

(2) 納税の猶予(国税通則法46条)

震災・風水害等の災害により相当な損失を受けた場合(同条1項)のほか、財産の災害・盗難、納税者またはその親族の病気・負傷、事業の休廃止、事業についての著しい損失、これらに類する事実がある場合において、その事実に基づき国税を一時に納付することができないと認められるときは、申請により納税の猶予が認められます(同条2項)。猶予期間は1年以内(やむを得ない理由があるときは延長を含めて最長2年)であり、猶予期間中は各月に分割して納付し、延滞税の全部または一部が免除されます。納税の猶予が認められた国税については、新たな督促や滞納処分が行われず、既に行われた差押えも解除され得ます。

(3) 職権による換価の猶予(国税徴収法151条)

申請による換価の猶予の要件(とりわけ納期限から6か月以内という申請期限)を満たさない場合であっても、税務署長は、滞納者が納税について誠実な意思を有すると認められ、財産の換価を直ちに行うことにより事業の継続または生活の維持を困難にするおそれがある場合等には、職権により換価を猶予することができます。申請期限を徒過している場合でも、税務署に対して収支の状況と納付計画を具体的に示し、分割納付の協議を行う実益は十分にあります。

(4) 実務上の留意点

  • 最悪の対応は「放置」である。督促状発付から10日の経過で差押えの要件が満たされ、税務署からの連絡に応答しない納税者は「納税について誠実な意思」を欠くと評価されやすい
  • 猶予の申請には、財産目録、収支の明細、納付計画等の添付が求められる。顧問税理士と連携し、資金繰り表に基づく実現可能な分割計画を提示する
  • 金融機関に対するリスケジュールの申入れと、税務署に対する猶予申請は並行して進める。いずれか一方の債権者にのみ弁済を集中させることは、他方との関係で信頼を損ない、また破産に至った場合には否認や偏頗弁済の問題を生じ得る
  • 社会保険料についても、日本年金機構に対する納付の猶予制度が設けられている。税と社会保険料の滞納は同時に発生することが多く、一体として対応計画を立てる
  • 会社財産を代表者や関連会社に移転して当面の資金を確保する行為は、第二次納税義務・滞納処分免脱罪・否認権行使のリスクを伴う。危機時の資金移動は必ず弁護士に相談のうえ行う

6 予防的な納税資金管理体制

消費税の滞納は、発生後の対応よりも、発生させない仕組みを平時に構築しておくことが最も費用対効果に優れます。国税庁も、滞納の未然防止策として計画的な納税(資金の積立て)の方法や、事前に納税資金を国に預けておく「予納ダイレクト」の利用を呼び掛けています。具体的には、①課税売上げに伴う消費税相当額を毎月概算で納税専用口座に自動振替し、運転資金と物理的に分離する、②月次損益を税抜ベースで作成し、当期の納付予定額と中間申告のスケジュールを月次資料に明示する、③課税仕入れと不課税・非課税支出の区別を経営者自身が理解し、人件費比率の上昇が納付税額に与える影響を予算段階で織り込む、④外注先の適格請求書発行事業者登録の有無を確認し、仕入税額控除の減少を把握する、⑤業績が急変した期には仮決算による中間申告を検討する、といった対応が考えられます。

点検事項

  • ① 月次の売上高・損益を税抜ベースで把握し、当期の消費税納付見込額を月次資料に記載しているか
  • ② 課税売上げに伴う消費税相当額を、納税専用口座等により運転資金と分離して管理しているか
  • ③ 直前の課税期間の確定消費税額に基づく中間申告の回数と納付期限を資金繰り表に反映しているか
  • ④ 決算期末から2か月後に法人税・地方税・消費税の納付が集中することを踏まえ、決算賞与・設備投資の時期を調整しているか
  • ⑤ 給与・社会保険料・保険料・支払利息等の不課税・非課税支出が仕入税額控除の対象とならないことを踏まえ、人件費比率の上昇が納付税額に与える影響を予算に織り込んでいるか
  • ⑥ 外注先の適格請求書発行事業者登録の有無を確認し、仕入税額控除の制限による納付税額の増加を把握しているか
  • ⑦ 納付が困難となる兆候が生じた場合に、納期限から6か月以内に換価の猶予を申請する体制(顧問税理士・弁護士との連絡経路、必要書類)が整っているか
  • ⑧ 督促状を受領した場合の社内の報告ルートが定まっており、経理担当者限りで放置される状態になっていないか
  • ⑨ 危機時に会社財産を代表者・親族・関連会社へ移転することが第二次納税義務・滞納処分免脱罪のリスクを伴うことを経営陣が理解しているか
  • ⑩ 税務署への猶予申請、金融機関へのリスケジュール申入れ、取引先への説明を一体として進める危機時の対応方針を、顧問弁護士・税理士と事前に協議しているか

よくあるご質問

Q. 決算が赤字でも消費税を納めなければならないのですか。

A. 納めなければなりません。法人税は所得(利益)を課税標準とするため赤字であれば納税額は生じませんが、消費税は事業者が国内で行った課税資産の譲渡等を課税対象とし、課税売上げに係る消費税額から課税仕入れ等に係る消費税額を控除した残額を納付する仕組みです。給与や社会保険料等の不課税・非課税の支出は控除の対象とならないため、人件費の負担が重く最終損益が赤字であっても、課税売上げがあれば納付税額は発生します。

Q. 売掛金を差し押さえられると、取引先に滞納の事実を知られますか。

A. 知られます。債権の差押えは、第三債務者(売掛金であれば取引先、預金であれば金融機関)に対して差押通知書を送達することによって行われ(国税徴収法62条1項)、徴収職員は差し押さえた債権を取り立てることができます(同法67条1項)。取引先は差押通知書の送達を受けた時点で滞納の事実を知ることになり、与信の見直しや取引の縮小につながるおそれがあります。金融機関の預金が差し押さえられた場合も同様であり、銀行取引約定上の期限の利益喪失事由に該当することが通常です。

Q. 会社が破産すれば、滞納している消費税は消えますか。代表者個人に請求されることはありますか。

A. 破産手続開始前の原因に基づいて生じた租税等の請求権のうち、破産手続開始当時にまだ納期限が到来していないもの、または納期限から1年を経過していないものは財団債権となり(破産法148条1項3号)、破産債権に優先して破産財団から随時弁済されます。納期限から1年を経過したものも優先的破産債権として一般の破産債権に優先します(同法98条1項)。法人の租税債務は原則として代表者個人に及びませんが、滞納法人から代表者への無償または著しく低い対価による財産の移転があった場合には、代表者が第二次納税義務を負うことがあります(国税徴収法39条)。個人事業主の場合、租税等の請求権は免責許可決定の効力が及ばない非免責債権です(破産法253条1項1号)。

Q. 納期限を過ぎてしまいましたが、猶予の申請は間に合いますか。

A. 申請による換価の猶予は、納付すべき国税の納期限から6か月以内に申請書を提出することが要件の一つとされています(国税徴収法151条の2)。納期限経過後であってもこの期間内であれば申請でき、国税を一時に納付することにより事業の継続または生活の維持を困難にするおそれがあること、納税について誠実な意思を有すること、猶予を受けようとする国税以外に滞納がないこと等の要件を満たせば、原則1年以内(延長を含めて最長2年)の分割納付が認められ、猶予期間中の延滞税が免除または軽減されます。災害、病気、事業の休廃止、事業の著しい損失等の事実がある場合には、納税の猶予(国税通則法46条)の申請も検討できます。督促状の発付後10日を経過すると差押えの要件が満たされるため、納付が困難であることが判明した時点で直ちに税務署へ相談することが重要です。

参考資料

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本コラムは一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の事案に対する法的助言ではありません。実際のご対応にあたっては、最新の法令をご確認のうえ、専門家にご相談ください。

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