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顧問弁護士の必要性が高い企業の4類型 ― 契約書のやり取りが多い企業(ひな形の劣化・海外取引の準拠法と管轄)、従業員との紛争の火種を抱える企業(労働関係訴訟4,212件・解決金の中央値150〜300万円・賃金不払172億円)、消費者向け事業でクレーム・広告対応を現場に委ねる企業(景品表示法の措置命令と課徴金・カスハラ対策義務)、売掛金の回収を放置する企業(5年の消滅時効と完成猶予・更新)の法的リスクと、顧問弁護士を置かない場合に最低限整備すべき事項

「当社の規模で顧問弁護士は必要か」という問いに対し、当事務所は「すべての企業に顧問弁護士が必須である」とは考えていません。しかし、事業の内容と現在の局面によっては、顧問弁護士を置かないまま事業を続けることが、紛争の発生確率と発生時の損失額の双方を著しく高める企業が一定数存在します。日本弁護士連合会が帝国データバンクと共同で実施した「第2回中小企業の弁護士ニーズ全国調査」(2016年7月〜9月、回答3,887社)によれば、顧問弁護士がいる中小企業は19.5%、顧問弁護士はいないが相談できる弁護士はいる企業が16.2%、いずれもいない企業が61.5%でした。同調査で、弁護士を利用したことがない理由として最も多かったのは「特に弁護士に相談すべき事項がないから」(86.3%)であり、社外の専門家に相談した企業が弁護士に相談しなかった理由の最多も「弁護士に相談する問題とは思わなかったから」(52.3%)です。多くの企業は、顧問弁護士の必要性を検討したうえで「不要」と判断しているのではなく、法的リスクの所在そのものを認識していない状態にあると考えられます。

本稿では、顧問弁護士の必要性が特に高い企業の類型を、①契約書のやり取りが多い企業、②従業員との紛争の火種を抱える企業、③消費者向け事業でクレーム・広告対応を現場に委ねている企業、④売掛金の回収を放置している企業の4類型に整理し、各類型について法的リスクの構造と、顧問弁護士を置かない場合に最低限整備すべき事項を示します。あわせて、必要性の判断基準と導入の局面についても整理します。なお、必要性の判断基準7項目と導入に適したタイミングの総論は、当事務所の関連コラム「顧問弁護士は中小企業に必要か」で整理していますので、本稿は事業類型に着目した各論として併せてご参照ください。

1 契約書のやり取りが多い企業

(1)ひな形の劣化と「相手のルールブック」の問題

BtoB取引を中心とする企業はもちろん、BtoC事業であってもシステムの導入・開発を伴う企業では、契約書の通数が多くなります。契約書のやり取りが多い企業で典型的に生じるのは、弁護士が作成した適切なひな形が、相手方ごとの修正と交渉を経て劣化していく現象です。相手方は提示されたひな形をそのまま受け入れることはなく、修正案を返してきます。法務担当者が修正の可否を判断する基準を持たないまま対応を続けると、「何を受け入れてよく、何を受け入れてはならないか」が感覚的な判断に委ねられ、自社に著しく不利な条項が蓄積していきます。

大企業との取引において相手方のひな形をそのまま押印して返す例も少なくありません。相手方が作成した契約書に無修正で署名することは、相手方の定めたルールに拘束されることを意味します。相手方に弁護士が関与している場合、不利な条項は一見して不利と分かる形では記載されず、責任制限、免責、解除事由、損害賠償の範囲、知的財産権の帰属、準拠法・管轄といった条項に分散して埋め込まれます。契約書の修正案に相手方の弁護士名が明示されることは稀であり、相手方のみに専門家が関与している状態で交渉が進んでいることに、自社が気付かないまま締結に至るのが実態です。

(2)海外取引における準拠法・管轄のリスク

会社の規模とリスクの大きさは比例しません。海外メーカーの代理店契約を1人で営む企業であっても、契約書は英文でメーカー側が作成したものであることが通常であり、準拠法と裁判管轄の定めが決定的な意味を持ちます。法律行為の成立および効力は当事者が選択した地の法によることとされ(法の適用に関する通則法7条)、いずれの国の裁判所に訴えを提起できるかについても当事者は書面による合意で定めることができます(民事訴訟法3条の7第1項・2項)。契約書に「相手国法を準拠法とし、相手国の裁判所を専属的管轄とする」旨の条項があれば、自社が権利を主張する場合であっても相手国で、相手国の法に基づいて争うことになり、現実には権利行使を断念せざるを得ない事態が生じます。独占販売権の条件、最低購入数量、解約条項、在庫の処理と併せ、1人会社であっても数千万円単位のリスクが契約書1枚で左右されます。

(3)顧問弁護士を置かない場合に最低限確認すべき事項

契約書のうち、①代金の額と支払時期、②解約・解除の条件、③損害賠償の範囲(上限・免責・間接損害の扱い)、④紛争時の管轄(国内であれば東京地方裁判所か大阪地方裁判所か、海外取引であればどの国の裁判所か)の4か所は、経営者自身が必ず確認すべきです。また、売上の柱となる契約(当該契約を失えば経営が困難になる契約)と海外との契約については、顧問契約がなくともスポットでの契約審査を依頼することが合理的です。準拠法と管轄は、締結前であれば交渉により変更し得る条項であり、締結後に争う余地はほとんどありません。

2 従業員との紛争の火種を抱える企業

(1)3つの危険信号

従業員との紛争リスクが高い企業の具体的な指標は、①退職させたい従業員がいること、②労働時間を正確に把握していないこと、③ハラスメントの相談窓口がないことの3点です。このうち③については、職場におけるパワーハラスメント防止のための雇用管理上の措置義務が、2022年4月1日から中小企業にも適用されています(労働施策総合推進法30条の2第1項)。相談窓口の設置は措置義務の中核をなす事項であり、窓口がない状態は法令上の義務を履行していない状態です。さらに、2025年6月11日公布の改正により、顧客等からの著しい迷惑行為(カスタマーハラスメント)に関する雇用管理上の措置義務および求職者等に対するセクシュアルハラスメント防止措置義務が新設され、2026年10月1日に施行されました。業種・規模を問わず全事業主が対象です。

(2)労働関係紛争の件数と解決金の水準

最高裁判所事務総局行政局「労働関係民事・行政事件の概況」に基づく統計によれば、全国の地方裁判所における労働関係民事通常訴訟事件の新受件数は、2024年に4,212件と統計のある1987年以降で最多となり、2025年も速報値で4,112件と2年連続で4,000件を超えています。労働審判事件の新受件数も2024年3,359件、2025年(速報値)3,447件で推移しています。労働政策研究・研修機構が2020年から2021年の一地方裁判所における解雇等をめぐる事件(労働審判785件・訴訟上の和解282件)を分析した調査では、労働審判で使用者が支払った解決金の中央値は150万円(月収換算4.7か月分)、訴訟上の和解の解決金の中央値は300万円(同7.3か月分)でした。中央値である以上、これを大きく上回る事案も相当数存在します。

(3)解雇無効の法的効果

解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合には、権利を濫用したものとして無効となります(労働契約法16条)。手続と理由を欠いた解雇が無効と判断された場合、労働契約は終了していなかったことになるため、従業員は復職を求めることができ、使用者は解雇期間中の賃金を遡って支払う義務を負います(いわゆるバックペイ)。訴訟は年単位に及ぶことが多く、解決金・バックペイ・弁護士費用・経営者の時間的負担を合算すると、損失が数百万円にとどまらない事案は珍しくありません。

(4)未払賃金のリスク

厚生労働省の公表によれば、2024年(令和6年)に労働基準監督署が賃金不払が疑われる事業場に対して監督指導を行い、是正により支払われた事案は22,354件、対象労働者185,197人、支払われた金額は172億1,113万円に達します。労働基準法上の賃金請求権の消滅時効は5年と定められていますが、当分の間は3年とされており(労働基準法115条・同法附則143条3項)、退職した従業員から過去3年分の未払残業代を一括して請求されるのが典型的な紛争類型です。1人の請求が他の従業員の請求を誘発する連鎖も頻繁に見られます。

(5)企業規模と紛争リスクの関係

従業員数が多いほど紛争の絶対数は増えますが、小規模企業では経営者と従業員の距離が近い分、経営者個人に対する請求や、1件の紛争が他の従業員に波及する連鎖反応が生じやすい構造があります。「小規模だから安全」とは言えず、むしろ小規模企業ほど経営者自身が紛争の当事者となるリスクが高い場合があります。顧問弁護士の必要性は従業員数ではなく、前記3つの危険信号の有無で判断すべきです。

(6)顧問弁護士を置かない場合に最低限整備すべき事項

第一に、就業規則を事業場の実態に合わせて更新することです。常時10人以上の労働者を使用する事業場には就業規則の作成・届出義務があります(労働基準法89条)が、実態と異なる制度が規則上残っている企業では、自社の運用自体が就業規則違反と評価される危険があります。第二に、労働時間を客観的な記録により把握することです。労働時間の状況の把握は労働安全衛生法66条の8の3により事業者の義務とされており、厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」は、タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎とすることを原則としています。第三に、退職させたい従業員への対応は、行動に着手する前に必ず法律専門家に相談することです。解雇の要件は経営者の感覚よりはるかに厳格であり、踏むべき手順も確立しています。顧問契約が難しい場合でも、この局面にはスポットで専門家を関与させることが、損失を最小化する戦略となります。

3 消費者向け事業でクレーム・広告対応を現場に委ねている企業

(1)BtoC事業に固有のリスク構造

消費者を相手とする事業では、相手方との間に「事業上の合理的判断に基づき冷静に協議する」という前提が成立しにくく、相手方の数もBtoB取引とは桁違いに多いという特性があります。1件の対応の誤りがSNS上で拡散し、企業の信用そのものを毀損する事例は現実に生じています。当職が関与した事案でも、企業側に大きな落ち度のないクレームについて、現場任せの対応を現場が誤り、顧客がSNSに投稿して拡散し、数か月にわたり営業が著しく悪化した例があります。悪評の拡散は一瞬であり、拡散が始まってから弁護士を探しても対応が間に合わない場合が少なくありません。

(2)広告・表示に関する法的規律

広告・表示についても規制は厳格です。商品・役務の内容について実際のものよりも著しく優良であると一般消費者に示す表示(優良誤認表示)は景品表示法5条1号により禁止され、根拠のない「業界No.1」「必ず効果があります」「全額保証」(ただし小さな文字で条件を付したもの)といった表示は、同号該当のおそれが高い典型例です。消費者庁は違反行為に対し措置命令を行うことができ(同法7条1項)、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求められた事業者が期間内にこれを提出しない場合、当該表示は優良誤認表示とみなされます(同条2項・不実証広告規制)。さらに、優良誤認・有利誤認表示については、原則として課徴金対象期間における対象商品・役務の売上額の3%の課徴金納付命令の対象となります(同法8条1項)。措置命令は事業者名とともに公表され、企業の信用への影響は行政処分そのものにとどまりません。違法な表示を継続した後に「公表を避けたい」と相談を受けても、弁護士が採り得る手段は限られます。表示を出す前の段階で適法性を確認する体制の有無が、結果を分けます。

(3)カスタマーハラスメント対策義務の施行

前記のとおり、2026年10月1日からカスタマーハラスメント対策が全事業主の義務となりました。事業主の方針の明確化と周知、相談窓口の整備、発生時の迅速かつ適切な対応、再発防止措置等が求められます。これは従業員保護の観点からの義務ですが、クレーム対応の基準と手順を会社として定めることは、過剰な要求への対応を現場の個人の判断から切り離し、炎上リスクを低減する効果も持ちます。

(4)顧問弁護士を置かない場合に最低限整備すべき事項

第一に、クレーム対応の窓口と対応ルールを定め、対応経過を必ず記録することです。第二に、返品・交換・返金の基準を事前に定めることです。第三に、「これ以上は対応しない」という打ち切りの線引きを、現場の担当者個人ではなく会社として決定しておくことです。これらを自社で整備したうえで、それでも防止できない悪質な事案に限って弁護士に対応を委ねる運用は、顧問契約を置かない企業にとって現実的な選択肢です。広告・表示については、表示を公開する前に根拠資料の有無を社内で確認する手順を設けるべきです。

4 売掛金の回収を放置している企業

(1)放置が生じる理由と時効

不動産業に限らず、役務を提供して売掛金の回収を怠っている企業は少なくありません。経営者が放置する理由として挙げるのは「催促が気まずい」「長い付き合いだから大丈夫」というものですが、債権は、債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないときは時効によって消滅します(民法166条1項1号)。売掛金については通常、支払期日の到来により権利行使が可能であることを債権者は認識しているため、支払期日から5年の経過で消滅時効が完成することになります。

(2)時効の完成猶予・更新と「放置」の区別

5年以内に訴訟を提起しなければならないわけではありません。催告があれば6か月間時効の完成が猶予され(民法150条1項)、裁判上の請求や支払督促等により手続終了まで完成が猶予されるとともに権利が確定すれば時効は更新されます(同法147条)。債務者が債務を承認すれば時効はその時点から新たに進行を始めます(同法152条1項)。問題は、これらの措置を何も取らない「放置」です。なお、再度の催告には完成猶予の効力がないため(同法150条2項)、催告を繰り返すだけでは時効を止め続けることはできません。

(3)支払遅延が示す信用リスク

時効以前の問題として、売掛金を支払わない取引先は、資金繰りが悪化している可能性が高いと見るべきです。取引先が倒産すれば回収はほぼ不可能となり、資金に窮した債務者は、厳格に請求してくる債権者から優先的に支払う傾向があります。沈黙する債権者は後順位に置かれます。弁護士が関与すれば、時効の完成猶予・更新のために現時点で必要な措置を精査し、早期に回収行動に移すことができ、弁護士名での催告書の送付のみで支払われる事案も相当数あります。売掛金の多い企業では、継続的に相談できる弁護士の有無により、企業に残る資金が数百万円から数千万円単位で変わり得ます。入金管理が機能していない企業は、取引先が多数で資金の出入りが頻繁な業態(小口の顧問先を多数抱えるコンサルティング業等)に多く、1社の1か月分の未入金を見逃す事例が目立ちます。

(4)顧問弁護士を置かない場合に最低限整備すべき事項

第一に、取引条件を必ず書面またはメールで記録することです。親密な取引先であっても、条件確定後に「この条件で合意した」旨をメール等で残すことが、後の請求の基礎となります。第二に、入金予定を一覧で管理することです。第三に、入金が1週間遅れた時点で連絡し、2か月遅れた時点で「様子を見る」ことをやめて回収行動に移るというルールを社内で定めることです。

5 必要性の判断と導入の局面

以上の4類型のいずれかに該当する企業は、顧問弁護士を検討すべき局面にあります。判断の軸は企業規模ではなく、「争いの火種をどの程度の重要度で抱えているか」です。これとは別の論点として、M&AやIPOを目指す企業は、デューデリジェンスや上場審査において契約書・労務・知的財産の法務体制そのものが審査対象となるため、早期の法務整備が必要であり、特殊事例として早い段階で弁護士を関与させることが望まれます。他方、当事務所は、資金の限られたスタートアップで弁護士へのニーズがまだ小さい企業に対し、一律に顧問契約を勧めることはしていません。初回のご相談で事業内容と現状を伺い、「現時点では顧問契約よりも事業への投資を優先すべき」とお伝えする場合もあります。

企業が点検すべき事項

  • ① 取引先から提示された契約書を無修正で押印している、またはひな形が相手方ごとの修正で劣化している状態になっていないか
  • ② 海外取引・代理店契約について、準拠法・管轄・独占条件・最低購入数量・解約条項を確認したか
  • ③ 契約書の代金・支払時期、解約条件、損害賠償の範囲、管轄の4か所を経営者自身が確認する運用になっているか
  • ④ 退職させたい従業員がいる場合に、行動に着手する前に専門家に相談する手順が確立しているか
  • ⑤ 労働時間を客観的な記録で把握し、就業規則が事業場の実態と一致しているか
  • ⑥ パワーハラスメント防止措置(相談窓口等)およびカスタマーハラスメント対策(2026年10月1日施行)の体制が整っているか
  • ⑦ クレーム対応の窓口・記録・返金基準・打ち切りの線引きを会社として定めているか、広告表示の根拠資料を公開前に確認しているか
  • ⑧ 取引条件を書面・メールで記録し、入金予定を一覧管理し、遅延時の連絡・回収着手の期限をルール化しているか
  • ⑨ 売掛金のうち支払期日から長期間経過しているものについて、時効の完成猶予・更新の措置を取っているか
  • ⑩ M&A・IPO等を予定している場合、法務体制の整備に早期に着手しているか

よくあるご質問

Q. 従業員1人の小さな会社ですが、顧問弁護士は必要ですか。

A. 会社の規模とリスクの大きさは比例しません。たとえば海外メーカーの代理店契約を1人で営む企業は、英文でメーカー側が作成した契約書の準拠法・管轄・独占条件・解約条項により数千万円単位のリスクを負っており、顧問弁護士を置くことが合理的な典型例です。契約書のやり取りの頻度、海外取引の有無、消費者向け事業か、売掛金の規模という観点から判断してください。

Q. 顧問弁護士を置く余裕がありません。何から始めるべきですか。

A. 契約書の代金・支払時期、解約条件、損害賠償の範囲、管轄の4か所を経営者自身が確認すること、就業規則の実態との整合と労働時間の客観的記録、クレーム対応と債権回収のルール化は、顧問契約がなくとも着手できます。そのうえで、売上の柱となる契約や海外契約の審査、従業員の解雇・退職勧奨の局面に限ってスポットで弁護士を関与させることが、費用対効果の高い対応です。

Q. 解雇した従業員から訴えられた場合、会社はどのような負担を負いますか。

A. 解雇が客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当でないと判断されれば無効となり(労働契約法16条)、従業員は復職を求めることができ、会社は解雇期間中の賃金を遡って支払う義務を負います。労働審判で使用者が支払った解決金の中央値は150万円、訴訟上の和解では300万円という調査結果がありますが、これに弁護士費用と年単位の対応負担が加わります。解雇に着手する前に専門家に相談することが、負担を最小化する唯一の方法です。

Q. 支払いが遅れている売掛金について、何年で請求できなくなりますか。

A. 債権者が権利を行使できることを知った時から5年で消滅時効が完成します(民法166条1項1号)。ただし、催告(6か月の完成猶予)、裁判上の請求・支払督促(手続終了までの完成猶予と確定時の更新)、債務者による承認(更新)により時効の完成を防ぐことができます。再度の催告には完成猶予の効力がないため、催告の繰り返しだけで対応することはできません。支払期日から長期間経過した債権がある場合は、早期に時効管理と回収方針の検討を行ってください。

まとめ

顧問弁護士の必要性は企業規模ではなく、①契約書のやり取りの多さ、②従業員との紛争の火種、③消費者向け事業におけるクレーム・広告対応、④売掛金の回収状況という4つの観点から判断すべきです。労働関係訴訟は2024年に過去最多の4,212件を記録し、解雇をめぐる解決金の中央値は労働審判150万円・訴訟上の和解300万円、賃金不払の監督指導による支払額は年172億円に達しています。優良誤認表示には措置命令と売上額3%の課徴金が、売掛金には5年の消滅時効が待っています。いずれの類型においても、紛争が発生した後に弁護士を関与させた場合の損失は、発生前に体制を整備した場合の費用を大きく上回ります。当事務所では、契約審査、労務管理体制の整備、消費者対応・広告表示の適法性確認、債権回収の各分野に専門の弁護士を配し、顧問契約に基づき継続的に支援しています。「顧問弁護士は何をしてくれるのか」「当社に必要か」という段階のご相談から承っています。

参考資料

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本コラムは一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の事案に対する法的助言ではありません。実際のご対応にあたっては、最新の法令をご確認のうえ、専門家にご相談ください。

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