Column

経営コンサルタント業の倒産急増と「情報提供型ビジネス」の構造的リスク ― 帝国データバンク・東京商工リサーチの統計(2026年は600件超で過去最多の見込み・従業員5人未満が92.3%)、補助金申請代行モデルの終焉と規制強化(改正行政書士法19条・デジタル化・AI導入補助金の不正措置)、人件費の固定費化と整理解雇の制約(労働契約法16条)、固定費の変動費化とフリーランス法、コンサルティング契約(準委任・民法651条)の設計とコンサルタント選定の留意点

帝国データバンクの調査によれば、経営コンサルティング業者の倒産(74件)と休廃業・解散(168件)の合計は、2026年1月から5月までの5か月間で242件に達しました。2025年通年の568件を約1割上回るペースであり、同社は、年間では600件超と2000年以降で最多のコンサルティング事業者が市場から退出する可能性を指摘しています。東京商工リサーチの集計でも、2025年の経営コンサルタント倒産は170件(前年比10.3%増)で2006年以降の20年間で最多となり、2022年から4年連続で増加しました。

経営コンサルティング業は、仕入れも在庫も持たず、経営の専門知識を商品とする事業であり、一般には倒産リスクの低い業種と受け止められてきました。その業種で倒産・廃業が過去最多を更新しつつある事実は、コンサルティング業に限らず、知識や情報の提供を収益源とするあらゆる事業に共通する構造的なリスクを示しています。本稿では、①統計にみる業界の構造転換、②倒産急増の要因、③補助金申請代行モデルの終焉と規制強化、④人件費の固定費化と整理解雇の制約、⑤生き残るコンサルティングの条件、⑥コンサルティング契約の設計とコンサルタント選定の留意点の順に整理し、経営者が自社の事業構造と外部専門家との契約を点検するための視点を示します。

1 統計にみる経営コンサルティング業の構造転換

(1) 市場規模の拡大と成長の鈍化

帝国データバンクによれば、国内の経営コンサルティング市場は2023年度に売上高ベースで初めて4兆円を突破し、従業者数は17万人規模に達しています。他方、2024年度は4兆円市場を維持したものの成長率は前年度比3%以下に減速し、同社は業界が急拡大フェーズから明確な転換期に入ったと分析しています。すなわち、市場規模自体は縮小していないものの、需要の伸びが止まった市場に、参入者だけが増え続けた状態にあります。

(2) 倒産企業の属性

東京商工リサーチの集計では、2025年に倒産した経営コンサルタント170件のうち、従業員5人未満が157件(構成比92.3%)、負債1億円未満が153件(同90.0%)、資本金1,000万円未満が133件(同78.2%)を占め、原因別では販売不振が98件(同57.6%)で最多、事業上の失敗が31件(同18.2%)で続きます。倒産の中心は中堅・大手ファームではなく、経営者1人または数名で運営される小規模事業者であり、帝国データバンクも、資本金1,000万円未満の小規模事業者が8割超を占め、中堅・大規模ファームとの格差が拡大していると指摘しています。

2 倒産急増の要因

(1) 生成AIによる基礎的業務の代替

東京商工リサーチは、生成AIなど新たな技術の急速な普及により、単純な資料作成や経営相談はAIがその役割を担いつつあると指摘し、帝国データバンクも、基礎的なリサーチや汎用的な研修コンテンツが生成AIによって急速に代替され、専門性による差別化を図れない事業者が下押し圧力に耐えきれず淘汰が加速すると分析しています。従来、コンサルティング業の商品は、顧客が保有しない情報や分析手法を保有していること自体にありました。顧客企業の経営者が自ら生成AIに問い合わせて一定水準の回答を得られる環境では、情報の保有それ自体の経済的価値は急速に低下します。仕入れも在庫も持たない事業は、商品である知識の市場価値が低下した際に、これを補う資産を持たないという脆弱性を内包しています。

(2) DX・IT導入需要の一巡

コロナ禍においては、テレワーク対応や業務プロセスのデジタル化に関する中小企業の需要が急拡大し、DX推進を掲げるコンサルティング事業者が多数参入しました。帝国データバンクは、このIT導入特需が終息し、顧客の需要がリスクマネジメント、M&A、新規事業開拓といった高度で本質的な課題解決へ移行していると分析しています。特定の特需に依拠して事業を立ち上げた事業者は、特需の終息とともに提供する商品を失うことになります。

(3) 参入障壁の低さ

経営コンサルタントを名乗ることに資格や許認可は不要であり、参入障壁は極めて低い業種です。景気拡大期に多数の参入があり、需要の伸びが止まった段階で競争が一斉に激化する構造は、倒産企業の8割近くが資本金1,000万円未満であるという統計に表れています。参入障壁の低さは、専門性や実績を欠く事業者の混在をも意味し、依頼者側に選定能力が求められる根拠となります。

(4) 補助金申請代行モデルの終焉

帝国データバンクは、今回の倒産急増の背景として、IT導入補助金(現・デジタル化・AI導入補助金)の申請代行が小規模コンサルティング事業者の主要なビジネスモデルとなっていたところ、審査の厳格化、参入業者の増加、顧客需要の一巡により、申請代行がビジネスモデルとして成立しなくなり、受注環境が急速に悪化したことを指摘しています。同社は、行政向け申請書類の作成代行や、中古車・LEDを用いた節税スキームの指南といった、実体的な付加価値を提供せず制度の「さや抜き」を主目的とする事業の破綻も挙げています。

3 補助金申請代行をめぐる規制強化

(1) 改正行政書士法(2026年1月1日施行)

補助金申請代行の縮小は、市場環境の変化にとどまらず、規制の明確化を伴っています。2026年1月1日に施行された改正行政書士法19条1項は、行政書士または行政書士法人でない者が「他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て、業として」官公署に提出する書類その他権利義務・事実証明に関する書類(同法1条の3)を作成することができない旨を規定し、違反した者には1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が定められています(同法21条の2)。「いかなる名目によるかを問わず」との文言により、コンサルティング料、事務手数料、成功報酬等の名目を用いても、報酬を得て官公署提出書類を業として作成すれば同項の規律を免れないことが明確化されました。東京商工リサーチも、行政書士法改正による補助金申請代行の規制強化が、当該業務に依存する小規模コンサルタントに打撃を与える可能性に言及しています。

(2) 補助金事務局による不正行為への措置

デジタル化・AI導入補助金の事務局は、不正行為の例として、①導入費用を後日IT導入支援事業者または第三者から返金する等のITツールの実質無償提供や紹介料名目の金銭授受、②補助対象者がGビズIDを他者と共有して申請手続を行わせる補助対象者以外による申請、③試供版のみの提供や導入研修の不実施等の導入未実行、④同一ITツールについての国庫補助金の重複受給、⑤従業員数の過少申告等の申請内容の虚偽を挙げ、不正が判明した場合には、交付決定の取消し、補助金の返還請求、IT導入支援事業者登録の取消し、事業者名の公表、警察への通報を行うとしています。申請を通すこと自体を目的とし、手数料を収受するモデルは、制度の側から排除されています。補助金の申請支援に関与する事業者は、行政書士法上の業務範囲と各補助金の公募要領の双方に照らして、自社の関与の適法性を点検する必要があり、依頼者である企業の側も、支援事業者の不正に巻き込まれれば交付決定の取消しや返還請求の当事者となる点に留意が必要です。

4 人件費の固定費化と整理解雇の制約

(1) 「仕入れがない」事業の費用構造

受注の減少が直ちに倒産に結び付く理由は、コンサルティング業の費用構造にあります。同業の経費は大部分が人件費であり、景気拡大期に将来の案件増を見込んで先行的に人材を採用した事業者は、案件が減少し稼働率が低下しても人件費を即座に削減することができません。帝国データバンクは、将来案件増を見越して積極的に人材を採用したものの高単価に見合う付加価値を提供できず稼働率が低下した事業者の苦境と、優秀なコンサルタントの人件費削減がサービス品質の低下と顧客流出を招くため積極的に切り込みづらいというコスト構造上の制約を指摘しています。さらに、小規模事業者は売上の大半を1〜2社に依存する傾向が強く、同社も、1案件への依存度が高くクライアント側の予算見直しやプロジェクト中断の影響を受けやすいと分析しています。主要顧客1社の予算見直しにより売上が消失する一方で人件費のみが残る構造は、在庫という資産を持たない事業に固有のものです。

(2) 整理解雇の法的制約

受注の減少を理由に従業員を解雇することにも法的な制約があります。労働契約法16条は、解雇は客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当であると認められない場合には権利を濫用したものとして無効とすると定めており、業績悪化を理由とする整理解雇については、裁判例上、①人員削減の必要性、②解雇回避努力(配転、希望退職の募集、役員報酬の削減等)、③人選の合理性、④手続の相当性(労働者・労働組合への説明協議)の4要素を総合考慮して有効性が判断されます。受注が減少したという事情のみで解雇が有効となるわけではなく、売上が消失しても人員を直ちに削減できないという板挟みが、小規模コンサルティング事業者を追い詰める法的背景となっています。

(3) 固定費の変動費化とフリーランス法

この構造への対応として、定型的なリサーチや資料作成を生成AIに委ね、繁忙期のみ必要となる人手を業務委託により確保することで、固定費を変動費に転換する方法が考えられます。もっとも、業務委託を活用する場合には、2024年11月1日に施行されたフリーランス法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)の規律に留意が必要です。同法は、業務委託事業者に対し、業務の内容、報酬の額、支払期日等の取引条件を書面または電磁的方法により直ちに明示する義務を課し、報酬は原則として給付を受領した日から60日以内のできる限り短い期間内に支払期日を定めて支払わなければならないとしています。また、6か月以上の継続的な業務委託については、中途解除または不更新の場合に原則として30日前までの予告が必要となるほか、ハラスメント対策に係る体制整備等の義務も定められています。加えて、業務委託の名目であっても、出退勤の管理や具体的な指揮命令が及んでいる実態があれば労働者性が認められ、労働基準法等の労働法規の適用を受けるとともに、偽装請負の問題も生じ得ます。固定費の変動費化は、契約の設計段階で法令適合性を確認したうえで実行する必要があります。

5 生き残るコンサルティングの条件

企業法務の実務において、多数の経営者およびその周辺のコンサルタントと接してきた経験からは、資料作成や一般的な分析の提供にとどまるコンサルティングは、生成AIによる代替が避けられない領域にあります。生成AIが得意とするのは、どの企業にも当てはまる一般論の提示であり、不採算事業からの撤退や人員整理といった方針も、一般論としては既にAIが提示し得るものです。他方、生成AIが代替し得ないのは、個別の企業と経営者の状況に即した意思決定の共有と、その実行への関与です。実務上、小規模ながら継続的に支持を得ているコンサルタントには、経営者に同行して金融機関との折衝に立ち会う、従業員への説明の場に同席するといった、経営者が最も負担を感じる局面を共有する姿勢が共通して見られます。

もう一つの条件は、経営危機に際して「止血」を進言できることです。資金繰りが行き詰まった経営者が弁護士に相談に訪れる際、コンサルタントが同席することは少なくありませんが、支払能力が危ぶまれる局面で新たなマーケティング施策や商品の販売による回復のみを語るコンサルタントは、結果として契約を打ち切られる例が大半です。危機時に必要なのは、売上の増加策に加えて、コスト削減と資金繰りの改善であり、これを進言することは自らの顧問料の削減を伴い得ます。それでもなお削減を進言し得るコンサルタントは、企業が回復した後に再び起用され、評価を高めています。経営者の側から見れば、肯定的な見通しのみを述べる者ではなく、経営判断に対して異論を述べ得る外部者を確保することが、コンサルタント起用の本来の目的に適います。

6 コンサルティング契約の設計とコンサルタント選定の留意点

(1) 契約の法的性質

コンサルティング契約は、助言や分析といった法律行為でない事務の委託として、多くの場合、準委任契約(民法656条)に当たります。受任者は善良な管理者の注意をもって委任事務を処理する義務を負いますが(同法644条)、請負契約と異なり、成果の完成は当然には契約の内容となりません。また、委任は各当事者がいつでも解除することができる一方、相手方に不利な時期に解除した場合や、委任者が受任者の利益をも目的とする委任を解除した場合には、やむを得ない事由があるときを除き、相手方の損害を賠償しなければなりません(同法651条)。成果報酬型の契約では、いかなる事実をもって「成果」とするかが定義されていなければ、報酬請求の可否をめぐる紛争が避けられません。

(2) 契約書で定めるべき事項

実務上、コンサルタントとの紛争は、「実施したはずの業務が実施されていない」「約束した成果が出ていない」といった主張の対立として現れ、その大半は、業務内容と報酬の定めが曖昧な契約に起因します。契約書では、①業務の範囲(対象事項、実施方法、成果物の有無と内容、稼働時間や訪問頻度)、②報酬の体系(月額固定か成果報酬か、成果報酬の場合の成果の定義・算定方法・支払時期)、③契約期間、更新、解除の条件および中途解約時の精算方法、④秘密保持、再委託の可否、競業する他社への同時関与の制限、⑤責任の範囲と上限を定めておくことが求められます。契約書の整備は、相手方を疑うためではなく、長期にわたり円滑な関係を維持するための手段です。

(3) 選定の3基準

コンサルタントの選定にあたっては、次の3点を確認することが実務的です。第一に、成果を「必ず」「絶対」と断言する者を避けることです。経営に確実な成果は存在せず、断定的な勧誘により高額な報酬を収受する事業者が、行き詰まった際に顧客を残して事業を停止する例は少なくありません。第二に、経営者の方針に対して懸念や異論を述べ得るかどうかです。肯定的な見通しのみを述べる者は、経営判断の抑止という外部者の機能を果たしません。第三に、自社の数字と契約を実際に確認したうえで提案しているかどうかです。財務資料や契約書を確認せずに提示される提案は一般論にとどまり、生成AIによる代替が可能な水準にあります。

点検事項

  • ① 自社の商品・サービスのうち、情報の保有や定型的な資料作成それ自体を価値としているものはないか。生成AIにより代替され得る業務と、個別の意思決定・実行への関与により差別化できる業務を区分しているか
  • ② 売上の特定の顧客・案件への依存度を把握しているか。主要顧客1社の予算見直しが生じた場合の固定費(特に人件費)の負担期間を試算しているか
  • ③ 将来の受注見込みに基づく先行採用を行う場合、受注が実現しなかった場合の人件費負担と整理解雇の法的制約(労働契約法16条・4要素)を踏まえた採用計画としているか
  • ④ 業務委託により固定費の変動費化を図る場合、フリーランス法上の取引条件の明示・支払期日・中途解除の予告等の義務を履行できる契約書式と運用を整備しているか。業務委託先に対する指揮命令の実態がなく、労働者性・偽装請負の問題が生じない設計となっているか
  • ⑤ 補助金の申請支援に関与する場合、改正行政書士法19条1項の規律および各補助金の公募要領・不正行為の定義に照らして関与の適法性を確認しているか。支援事業者を利用する企業の側では、実質無償提供や紹介料の授受、GビズIDの共有等の不正に該当する取引を求められていないか
  • ⑥ 外部のコンサルタントとの契約書に、業務の範囲、報酬の体系と成果の定義、契約期間・解除・中途解約時の精算、秘密保持・再委託・競業関与の制限、責任の範囲が具体的に定められているか
  • ⑦ 起用しているコンサルタントは、経営方針に対して異論や懸念を述べているか。成果を断言していないか。自社の財務資料と契約書を確認したうえで提案しているか

よくあるご質問

Q. 経営コンサルタント業の倒産はどの程度増加しているのですか。

A. 帝国データバンクの調査によれば、経営コンサルティング業者の倒産(負債1,000万円以上の法的整理)は2026年1〜5月に74件、休廃業・解散は168件で、合計242件です。2025年通年の568件を約1割上回るペースであり、年間では600件超と2000年以降で最多になる可能性が指摘されています。東京商工リサーチの集計では、2025年の経営コンサルタント倒産は170件(前年比10.3%増)で2006年以降の20年間で最多、2022年から4年連続の増加です。従業員5人未満が157件(92.3%)、負債1億円未満が153件(90.0%)、資本金1,000万円未満が133件(78.2%)を占め、原因別では販売不振が98件(57.6%)で最多となっており、倒産の中心は小規模事業者です。

Q. 補助金の申請代行を業務とすることに法的な制約はありますか。

A. あります。2026年1月1日に施行された改正行政書士法19条1項は、行政書士または行政書士法人でない者が、他人の依頼を受け「いかなる名目によるかを問わず」報酬を得て、業として官公署に提出する書類等を作成することを禁止する旨を明確にし、違反には1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が定められています(同法21条の2)。コンサルティング料や事務手数料といった名目であっても、報酬を得て申請書類を業として作成すれば同項の対象となり得ます。また、デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)の事務局は、導入費用を後日返金する実質無償提供、紹介料名目の金銭授受、補助対象者以外の者がGビズIDを用いて申請手続を行うこと等を不正行為として例示し、不正が判明した場合には交付決定の取消し、補助金の返還請求、IT導入支援事業者登録の取消し、事業者名の公表、警察への通報を行うとしています。申請支援を行う場合には、行政書士法上の業務範囲と各補助金の公募要領の双方に照らした適法性の確認が必要です。

Q. 受注が減少したため従業員を解雇したいのですが、可能ですか。

A. 業績悪化を理由とする解雇(整理解雇)も、労働契約法16条により、客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当と認められない場合は権利濫用として無効となります。裁判例では、①人員削減の必要性、②解雇回避努力(配転・希望退職の募集・役員報酬の削減等)、③人選の合理性、④手続の相当性(労働者・労働組合への説明協議)の4要素を総合して有効性が判断されており、受注が減少したという事情のみで直ちに解雇が有効となるわけではありません。人件費の固定費化を避けるためには、採用の段階で受注見込みと固定費のバランスを検討し、繁閑に応じた業務については業務委託の活用を検討することが考えられますが、業務委託を用いる場合にはフリーランス法(2024年11月1日施行)上の取引条件の明示、報酬の支払期日(原則として給付受領日から60日以内)、継続的業務委託における中途解除の予告等の義務を遵守する必要があり、指揮命令の実態がある場合には労働者性が認められ労働法規が適用される点にも留意が必要です。

Q. 経営コンサルタントと契約する際、契約書で確認すべき点は何ですか。

A. コンサルティング契約の多くは、法律行為でない事務の委託として準委任契約(民法656条)に当たり、受任者は善良な管理者の注意をもって事務を処理する義務を負いますが、成果の実現までは当然には約束されません。また、各当事者はいつでも契約を解除できる一方、相手方に不利な時期に解除した場合には損害賠償の問題が生じ得ます(民法651条)。このため、①業務の範囲(何をどこまで行うか、成果物の有無と内容)、②報酬の体系(月額固定か成果報酬か、成果報酬の場合の「成果」の定義と算定方法)、③契約期間・更新・解除の条件と中途解約時の精算、④秘密保持・再委託・競業する他社への関与の制限、⑤責任の範囲を、契約書で具体的に定めておくことが重要です。あわせて、成果を「必ず」「絶対」と断言する勧誘を行う者、経営上の懸念を指摘せず肯定的な見通しのみを述べる者、自社の数字や契約を確認せずに提案を行う者は、契約の内容が曖昧である場合が多く、契約締結前に業務内容と報酬の定めを確認することが紛争予防の出発点となります。

まとめ

経営コンサルティング業の倒産・廃業が過去最多を更新しつつある背景には、生成AIによる情報価値の低下、DX特需と補助金申請代行モデルの終焉、参入障壁の低さという市場要因に加え、人件費という固定費を直ちに削減できない法的制約(労働契約法16条)と、少数の顧客への売上依存という費用・収益構造があります。この構造は、コンサルティング業に固有のものではなく、知識や情報の提供を収益源とするあらゆる事業に共通します。自社の商品が生成AIにより代替され得るものでないか、固定費と売上の依存構造が主要顧客の喪失に耐え得るか、固定費の変動費化を図る場合の契約がフリーランス法等に適合しているか、そして外部のコンサルタントとの契約が業務内容と報酬を明確に定めているかを、平時に点検することが求められます。当事務所では、コンサルティング契約・業務委託契約の設計とレビュー、フリーランス法への対応、受注減少時の人員体制の見直しに関する労務対応、補助金申請支援への関与の適法性点検、資金繰りが悪化した際の初動対応を、顧問契約に基づき継続的に支援しています。

参考資料

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本コラムは一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の事案に対する法的助言ではありません。統計は帝国データバンク(2026年6月・2025年11月公表)および東京商工リサーチ(2026年1月公表)の集計によります。実際のご対応にあたっては、最新の法令をご確認のうえ、専門家にご相談ください。

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