どれほど注意を尽くしても、医療には予期せぬ結果が伴うことがあります。患者に重大な結果が生じ、医療事故・医療過誤が疑われる事態となったとき、その初期対応の巧拙が、その後の患者・ご家族との関係や、紛争の帰趨を大きく左右します。本コラムでは、医療機関が取るべき初期対応と、平時からの備えについて、弁護士・医師の視点から整理します。
初期対応の重要性
有害事象の発生直後は、現場が混乱しがちです。しかし、この段階での対応が記録として残り、後の紛争で重要な意味を持ちます。感情的・場当たり的な対応を避け、組織として落ち着いて対応する体制が求められます。
取るべき初期対応
- 何よりもまず、患者の救命・安全の確保を最優先する
- 診療記録・看護記録・検査データ等を、事実に基づき正確に記載し、保全する
- 院内で速やかに情報を共有し、関係者から事実関係を確認する
- 患者・ご家族に対し、判明している事実を誠実に説明する
- 制度上必要となる報告(医療事故調査制度に基づく報告など)の要否を検討する
やってはいけないこと
- 診療記録の改ざんや、後からの不適切な書き換え
- 事実関係が未確認の段階での、不用意な責任の認否
- 説明の放置や、誠実さを欠いた対応
特に診療記録の改ざんは、それ自体が医療機関の信頼を根本から損ない、紛争を著しく不利にします。記録は「事実をありのまま残す」ことが原則です。
多くの紛争は、結果そのものよりも「その後の対応」への不信から深刻化します。誠実な説明と正確な記録こそが、最大の備えとなります。
平時からの備え
有害事象発生時の対応フロー、院内の報告ルート、連絡すべき専門家の窓口などを、平時から整理しておくことが重要です。研修を通じてスタッフ全員が初期対応の基本を共有しておくことで、いざというときに組織として適切に動くことができます。
まとめ
医療事故・医療過誤への対応は、医学的な評価と法的な評価の双方が交錯する難しい局面です。当事務所では、医師免許を持つ弁護士が、医療現場の実情と医学的知見を踏まえて、初期対応から紛争解決まで一貫して支援します。対応に迷われた際は、早い段階でご相談ください。
本コラムは一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の事案に対する法的助言ではありません。実際のご対応にあたっては、専門家にご相談ください。
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