Column

医療広告の注意点 ― 医療法・薬機法・景表法・特商法の観点から

クリニックや病院にとって、ウェブサイトやSNSを通じた情報発信は、集患・広報の重要な手段です。しかし、医療に関する広告は、患者保護の観点から医療法・医療広告ガイドラインによって厳しく規制されています。さらに、医薬品・医療機器の効能効果等に触れる場合の医薬品医療機器等法(薬機法)、自由診療や物販を伴う場合の景品表示法(景表法)特定商取引法(特商法)といった規制も重畳的に関わってきます。本コラムでは、医療広告を作成する際に注意すべきポイントを、弁護士・医師の視点から横断的に整理します。

医療法による医療広告規制

医療に関する広告は、虚偽・誇大な内容によって患者が不適切な受診をしないよう、医療法および医療広告ガイドラインで規制されています。ウェブサイトも、一定の場合には広告規制の対象となります。

原則として禁止される広告

  • 虚偽広告(「絶対安全」「必ず治る」など)
  • 比較優良広告(「日本一」「No.1」など他院との優劣を示すもの)
  • 誇大広告
  • 患者等の体験談(誤認を与えるもの)
  • 治療効果について誤認を与えるビフォーアフター写真
  • 公序良俗に反する内容

限定解除の要件

ウェブサイト等において、問い合わせ先の明示や、自由診療の内容・標準的な費用・治療のリスク・副作用等の記載といった要件(限定解除要件)を満たす場合には、通常は広告できない事項についても情報提供が可能とされています。

医薬品医療機器等法(薬機法)の観点

医療機関の広告であっても、医薬品や医療機器の効能効果・性能等に触れる場合には、薬機法の広告規制が関わってきます。医療法とあわせて確認すべき重要な観点です。

虚偽・誇大広告の禁止

医薬品・医療機器等の名称、製造方法、効能効果・性能に関して、虚偽または誇大な広告を行うことは禁止されています。承認等を受けた範囲を超える効能効果をうたうこともできません。

未承認の医薬品・医療機器の広告禁止

承認・認証を受けていない医薬品・医療機器について、その名称・効能効果等を広告することは禁止されています。特に美容医療・自由診療で、未承認の医薬品・医療機器(個人輸入したものを含む)を用いる場合は注意が必要です。医療広告ガイドライン上も、こうした自由診療を広告する際には、未承認である旨、入手経路、国内の承認医薬品等の有無、諸外国における安全性等に関する情報を明示することが、限定解除の要件として求められています。

景品表示法(景表法)の観点

自由診療や美容医療、健康食品・物販などを扱う場合は、景表法上の優良誤認表示(実際よりも著しく優良であると示す表示)や有利誤認表示(価格や取引条件を著しく有利に見せる表示)に注意が必要です。効果・効能をうたう場合には合理的な根拠が求められ、「通常価格」との比較といった二重価格表示にも留意が必要です。

特定商取引法(特商法)の観点

ウェブでの物販(通信販売)を行う場合には、事業者名・価格・支払方法・返品や解約の条件などの表示義務が課されます。また、美容医療のうち一定の継続的な役務は「特定継続的役務提供」に該当し得え、契約書面の交付やクーリング・オフなどの規律が適用される場合があります。

実務上のポイント

  • 効果・効能に関する表現は、根拠資料を整備・保管しておく
  • 自由診療は、費用・リスク・副作用を明示する
  • 体験談・ビフォーアフターの掲載可否と方法を慎重に判断する
  • 価格表示・解約条件を正確に記載する
  • 広告代理店や制作会社任せにせず、公開前に内容を最終確認する
医療広告は、医療法を軸に、薬機法・景表法・特商法が重畳的に適用される領域です。一つの広告でも、複数の法令の観点から横断的にチェックすることが欠かせません。

まとめ

医療広告規制への違反は、行政指導や措置命令の対象となるだけでなく、医療機関の信用を損なうことにもつながります。発信前に、複数の法令の観点から確認する体制を整えておくことが重要です。当事務所では、医師免許を持つ弁護士が、医療現場の実情を踏まえて、広告表現のリーガルチェックから体制づくりまで支援します。

本コラムは一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の事案に対する法的助言ではありません。実際のご対応にあたっては、最新の法令・ガイドラインをご確認のうえ、専門家にご相談ください。

← コラム一覧へ戻る

医療広告のリーガルチェック・医療機関の広報体制づくりに関するご相談を承っております。お気軽にお問い合わせください。

電話 — 平日 10:30 – 17:00 03 - 6824 - 4639

メール でのお問い合わせは 24 時間受付